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 東京・浅草にほど近い一角に,東武鉄道が中心になって「すみだタワー」を建てることがこのほど決まった。東京タワーに代わる,地上デジタル放送のための関東広域圏における新しい親局である。

 関東広域圏で最初に新タワー構想が持ち上がったのは1998年のこと。最終的に東武鉄道の建設案を選ぶまで,8年かけたことになる。だが放送事業者には,これまでのようにのんびり構えていられる余裕がなくなってきている。地上デジタル放送を送信するための親局や中継局となる電波塔が,通信業界との映像配信インフラを巡る覇権争いを制するための要所になってきたからだ。

 電波塔の建設に消極的だったがために,窮地に追い込まれている放送事業者が既に存在する。米国の地上波放送事業者である。いま視聴率が低下の一途をたどっているという。日本の民放事業者の場合,地上アナログ放送のために1社当たり数十~数百カ所に電波塔を建ててきたが,米国では1社当たり数カ所程度にとどまった。当然,地上アナログ放送の電波が届かない場所がたくさん残った。米国の放送事業者が頼ったのはCATV(ケーブルテレビ)である。CATV事業者に地上アナログ放送を再送信してもらった。その結果,米国でCATVが勢いよく普及し,同時にCATV事業者が提供する多チャンネル放送の加入者も増えた。そして地上波放送の視聴率を押し下げている(詳細は日経ニューメディア2006年4月17日号に掲載)。