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コンピュータ・ネットワーク事業部ソリューション営業統括グループ統括ブループリーダーの吉澤強氏
コンピュータ・ネットワーク事業部ソリューション営業統括グループ統括ブループリーダーの吉澤強氏
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SenSage Enterprise Security Analytics
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 「今期予算は8億円だが,来期は20億円」---。ストレージとネットワーク関連製品を主軸とする技術商社,東京エレクトロンのミドルウエア製品の予算である。同社は,急成長を遂げると見ているミドルウエア分野に注力する。手始めに以下の3製品,ユーザー企業向けにはSOX法(企業改革法)対策となるログ分析ソフトを,通信機器ベンダー向けには組み込み用のミドルウエア2製品を展開する。

 同社コンピュータ・ネットワーク事業部ソリューション営業統括グループ統括ブループリーダーの吉澤強氏は,今後のIT市場を展望し,「またバブルが来る気配がある」と総括した。同氏によれば,バブルの牽引力となるのは,同社のビジネスの主軸であるストレージとネットワーク関連製品,および市場規模こそ800億円と一桁少ないものの今後急成長を遂げると見られるミドルウエア製品分野である。

 バブルが来ると言う背景には,ネットワーク社会を取り巻く特殊な状況がある。まず,データ通信用途に加えて音声データや映像データのトラフィックが増えてきており,扱うサービスが複雑化している。インターネットの一般化によってコンプライアンス(法令遵守)などのテーマが顕在化したほか,日本版SOX法など企業の運用オペレーションを変えうる要素も登場した。こうした状況下で企業が生き残るためには,情報システムの堅牢性や情報の安全性を確保しつつ,新たなサービスを即座に提供できる体制を整えなければならない。

ユーザー企業向けに,SOX法対策ミドルウエアを用意

 需要に応えるミドルウエアとして,まず同社が手がける製品は3つある。このうち,ユーザー企業向けの製品は,SOX法対策を狙うログの収集・分析ソフトである(1)SenSage Enterprise Security Analytics。この製品に加えて,今後,ユーザー企業向けに「まだ提供していないが需要の高い分野で,少なくとも2つのミドルウエアの投入を予定している」(同社)。

 残りの2つのミドルウエアは,携帯電話キャリアの課金システムなどを実現するために用意する通信機器への組み込み用ミドルウエアである。高速に動作するデータベース管理システムの(2)Oracle TimesTen In-Memory Databaseと,高可用性クラスタリング・ソフトの(3)GoAhead SelfReliant 7500である。

 (1)SenSage Enterprise Security Analyticsは,情報システムが出力する各種のログをディスク・ストレージに長期保存しておき,蓄積したログ・データの分析やレポート出力などの機能を提供するソフトである。ログ情報をリアルタイムに分析して警告を出すのではなく,長期にわたってログを蓄積することを目的とする。ディスク容量やサーバー能力の増設などが簡単にできるよう,クラスタ構成を採れる。

 (2)Oracle TimesTen In-Memory Databaseは,米Oracleが2005年6月に買収した米TimesTenが開発した組み込み用途向けのリレーショナル・データベース管理システムである。特徴は,最初からメモリー上にデータを配置することを前提に構造を単純化しているため,メモリー・バッファ処理にかかる負荷を抑えられるなど,ディスク上にデータを配置することを前提とした他のデータベース・ソフトよりも高速に動作する点である。

 (3)GoAhead SelfReliant 7500は,TimesTen用のAPIを備えるなど,組み込み用に特化した高可用性クラスタリング・ソフトである。SDK(開発キット)として提供する。一般的な高可用性クラスタリング・ソフトとの違いは,通信サービスや課金サービスに用いるネットワーク・サーバー機器向けに,フェール・オーバー(引継ぎ)にかかる時間を短くできる点。アプリケーションのフェール・オーバーの実績値は866MHz動作のCPUとLinuxの組み合わせで2.62マイクロ秒であり,「サーバー機からサーバー機へのフェール・オーバーは,トランザクションの整合性を維持しつつ3秒以内で済む」(同社)。