4月8日に開校した全寮制の中高一貫の男子校「海陽中等教育学校(学校法人名は海陽学園)」が、最先端のIT技術を駆使した情報システムを導入した。同学園は次世代のリーダーを養成する目的で、トヨタ自動車、JR東海、中部電力を中心とした約80社が設立した。イギリスの「イートン校」などの全寮制の学校を参考にした。

 今年入学した1期生123人全員に、PAS(Parsonal Area System)と呼ぶ無線端末とノートパソコンを配布する。PASは、ICカード(FeliCa)、無線LAN機能、音声通話やテキストベースのメッセージ交換機能などを備える。形状は携帯電話に似ている。

 生徒は常にPASを携帯し、部屋の開錠や図書館での書籍の貸し出し、授業の出席確認などに利用できる。構内での売店や自動販売機ではPASを使って代金を支払える。無線LANを使ったPAS同士の音声通話や、構内の内線用固定電話と音声通話も可能だ。家族が校外から発信した電話をPASで受けることもできるが、PASから校外へ発信することはできない。また、PASが利用している無線LANの基地局情報から、学校側は生徒がいまどこにいるかを把握でき、災害時などにはすぐに救助に向かえるようになっている。

 USB経由でパソコンにつなげば構内無線LANネットワークに接続できる。接続すると、パソコンの初期起動画面として個人用のポータル画面が表示される。ここに授業の時間割や個人宛てのお知らせなどが表示される。ノートパソコンにはハードディスクを搭載しないシンクライアントを採用し、パソコンを紛失してもデータが漏洩しないようにした。PASを共用パソコンに接続しても、同様に個人ポータルに接続できる。パソコンを使って外部のインターネットのWebサイトを閲覧することはできるが、ゲーム・サイトや有害サイトなどは利用できないように制限をかけている。

 同校が積極的にIT投資に踏み切った理由として、同校の広報担当者は「設備面の制約にとらわれず学習に集中できるように、最先端のIT技術を積極的に導入した」と説明する。生徒がITを活用するだけでなく、学校側にも「教室でPASを使って生徒の出席状況を瞬時に把握したり、従来の学校のように大量のプリントを配布せずペーパーレス化できるいったメリットがある。教員側の負担を大幅に減らせる」(広報担当)という。

 同校は今年1月に入学試験を実施、定員120名に対し出願者は525名(倍率4.4倍)に達した。3月17日に学校法人として認可を受け4月8日に開校した。