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 「文書の標準フォーマットであるODFを政府の調達基準にする動きが各国で進んでいる。日本の経済産業省とも話を始めた」。米IBMの標準・オープンソース担当、ロバート・サター副社長はこう述べる(写真)。経産省では、今年6月をメドに情報システムの政府調達基準を見直しており、ODFが政府の調達基準に選ばれる可能性は高い。これにより、ODFをサポートしないMS Office製品は政府調達からはずれる可能性も出てきた。

 ODF(オープン・ドキュメント・フォーマット)はeビジネス関連技術の標準化を進める非営利団体のOASISが策定したもの。ドキュメントを保存するフォーマットであり、ODFをサポートするソフト間でデータ互換性が確保できるようになる。すでに、オープンソースのオフィス製品「OpenOffice」やリッチクライアント向けの基盤ソフト「IBM Workplace Managed Client 2.6」で採用している。IBMのサター副社長はOASISのボードメンバーも務める。

 ODFが政府調達の基準になる可能性が高い理由は、近々、ODFがISO(国際標準化機構)において国際標準規格になる模様だからだ。「ISO規格になればJIS規格になる可能性が高い。そうすれば調達基準になる可能性も高い」(経産省)。すでにISOは5月1日(米国時間)にODFを標準規格として了承する投票を行った。結果はまだ明らかにされていないが、了承されるのはほぼ確実と見られている。今後、投票結果に対する意見を募り、今年末までに正式な国際標準規格になる見込みである。

 一方、米マイクロソフトも手をこまぬいているわけではない。昨年11月、MS Officeのドキュメント・フォーマットを「Open XML」として、欧州における情報通信分野の標準化団体、ECMA(ヨーロッパ電子計算機工業会)に提出した。

 これに対し、IBMのサター副社長は「1社が定めたものを標準仕様にするのはおかしい」と批判する。続けて、「MS Officeの新版(今年後半に出荷が予定されているOffice 2007)では、ODFをサポートしない。技術的には難しくないのに、なぜサポートしないのかを問いたい」とする。

 データ互換性のためであれば、ODFでもOpen XMLでもどちらでも良いから統一すべき、という意見もある。しかし、仕様の違いはソフトの機能の違いになるため、そう簡単ではない。例えばODFでは、“アクセシビリティ”のための仕様、つまり高齢者や障害者などハンディを持つ人が利用しやすい機能をソフトにつける拡張を実施している。具体的には、ドキュメントを読み上げる機能をつけるために、写真に説明文をつける仕様を定めるなどだ。

 まだOpen XMLをISOが採用する可能性も残っている。標準化ではODFが大きくリードした格好だが、既存ユーザーが圧倒的に多いMS Officeが巻き返す可能性も少なくない。ユーザーにとっては価値が無い標準化競争が続きそうだ。