PR

 2006年度の日経BP技術賞 電子情報部門賞を受賞したオープンソースのJ2EEフレームワーク「Seasar2」(関連記事)。Seasarが誕生したきっかけは,羽生章洋氏が,ひがやすを氏に開発を持ちかけたことに始まる(関連記事)。羽生氏は現在Seasarファウンデーションの理事を務めるとともにSI企業であるスターロジックの代表取締役兼CEOであり,SeasarおよびSeasar2の開発に貢献するとともに多数のシステム構築案件に適用した。

 Seasarは多くの関連ソフトウエアが開発され,コミッタ(ソースコード変更権限を持つ開発者)だけでも50人以上いるという,日本で他に類を見ない数の開発者が集うオープンソース・コミュニティとなっている。羽生氏はこのコミュニティの要としても活動してきた。

 羽生氏に,オープンソース・ソフトウエアとビジネスのかかわり,コミュニティが成長した秘密について聞いた。

---オープンソース・ソフトウエアは儲かりますか。


羽生章洋氏
[画像のクリックで拡大表示]
 オープンソース・ソフトウエアそのもので儲けようとするのは間違い。儲かりません(笑)。

 オープンソース・ソフトウエアを開発することで得られるのはバランス・シートに現れない資産なんです。つまりブランドです。スターロジックは小さな企業ですが,Seasarの開発に貢献したり,ルール・エンジンのS2Buriをオープンソース・ソフトウエアとして公開したりしたことで,名指しで仕事の依頼が来る。大企業とも対等の立場で仕事ができる。また求人広告にお金をかけたこともありません。

 もちろん,オープンソース・ソフトウエアによるシステム構築はビジネスになります。スターロジックはSI企業であり,オープンソース・ソフトウエアを使用することは,仕入れコストを下げられることを意味します。また他社と共同で必要なソフトウエアを開発するため,R&Dのコストをシェアできます。

---Seasarは大きなコミュニティに成長しました。5月14日に開催される初のカンファレンス「Seasar Conference 2006 Spring」には400名規模のイベントになります。これほど多くの,しかも開発に参加する技術者が多く集まるオープンソース・コミュニティは日本では稀です。どうすれば日本でLinuxのような大きなコミュニティが育つでしょうか。

 みんなLinuxコミュニティのモデルにこだわりすぎて,それを無理に当てはめようとしているのではないでしょうか。Linuxコミュニティは普遍的なモデルではありません。多くの偶然が重なってできたたった一つの事例です。Linuxの真似をしても日本でコミュニティは育ちません。

 もともと,日本にはコミュニティに相当するものがないんです。欧米のオープンソース開発者は「皆,日曜日に教会に行きますよね,あれがコミュニティです」っていうけど,普通の日本人は行かないから(笑)。

 じゃあ日本人にとってのコミュニティのモデルは何かっていうと,「祭り」です。みんなで頻繁に集まってイベントやミーティング。文化祭みたいなものです。

 つまり欧米人にとってコミュニティは日常,「ケ」だけど,日本人にとってのコミュニティは非日常,「ハレ」なんです。この違いを無視してはいくら頑張ってもだめです。

 Open Source Revolution!の講演では,こういったオープンソースの常識のウソをほかにもお話しますよ。