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 NECは5月11日、2006年3月期の決算を発表した。連結売上高は前年同期比0.5%増の4兆8249億円、営業利益が同32.8%減の954億円、当期純利益が同84.3%減の121億円となった。売上高、利益ともに当初の業績予想を達成できなかったため、NECの的井保夫専務は「今期の最重要課題は業績予想値の必達」と語る。2007年3月期は連結売上高4兆9000億円、営業利益1300億円、当期純利益500億円と予想する。

 2006年3月期のセグメント別の売上高は、ITソリューション事業が前年同期の2兆1678億円から2兆1746億円に微増したものの、ネットワークソリューション事業は1兆8753億円から1兆7862億円と4.8%減少した。営業利益はそれぞれ818億円、620億円である。またエレクトロンデバイス事業も8691億円から8084億円に減少し、255億円の赤字と足を引っ張った。

 今期のセグメント別の業績予想は、ITソリューション事業の連結売上高が2兆2200億円、営業利益が900億円を目指す。ネットワークソリューション事業は連結売上高が1兆7400億円、営業利益が700億円と減収増益の予想となっている。エレクトロンデバイス事業は連結売上高が8850億円、営業利益が80億円である。

 唯一増収したITソリューションも、パソコンの出荷自体は好調で売り上げは伸びたものの、急激な為替差損によって利益を大幅に減らした。ITソリューションのなかのSI/サービス事業は8369億円から8324億円に微減、利益は約600億円で前期より60億円減った。ただし、「2006年3月期の後半から生産革新の成果が出ており、利益率は上半期の6%から下半期9%に改善した」(的井専務)という。

 プロジェクトマネジメント力強化による不採算プロジェクトの抑制も効果を上げており、今期は国内IT投資の回復とあいまってSI/サービス事業の収益改善を狙う。SI/サービスのなかでも、保守の収益が想定以上に低下しており、コスト削減などグループ一体となった課題共有による収益改善を図るという。

 ネットワークソリューション事業では、携帯電話端末などモバイルターミナルの連結売上高が、前年同期比26.3%減の4548億円と不振を極めた。特に中国向け事業で赤字が拡大したため今期は、海外向けの端末を4割減らす。国内向けを含む出荷台数も、2006年3月期の1090万台から900万台強に減らす計画だ。「今期は黒字に限りなく近づけることを目指すが、赤字を覚悟している」(的井専務)という。