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 NECがグループを挙げて,ソフトウエア技術者を対象とする新しい人材育成策に取り組んでいる。最大の注目点は,企業情報システムの開発に携わるIT系のソフト技術者と,デジタル家電など各種組み込み機器のソフト開発に携わるソフト技術者の両方をカバーする人材育成の枠組みを構築したこと。この4月末に運用を開始した。

 NECが始めたのは「NECプロフェッショナル認定制度(ソフトウェア系)」。NEC本体,および,NECソフト,NEC通信システム,NECシステムテクノロジーといった100%子会社に在籍するソフトウエア技術者のうち,IT系と組み込み系の合わせて約8000人が対象となる。

 同制度の基盤となるのは,昨年5月に情報処理機構(IPA)のソフトウェアエンジニアリングセンター(SEC)と経済産業省が策定した「組込みスキル標準(ETSS)」に基づく6つの人材タイプ(ETSSの「職種」に相当)である(表を参照)。グループ企業も含めて,これほどの規模でETSSを人材育成の枠組みとして導入したのは同社が初めてと見られる。

 NECは今年4月にグループ全体の組織体制を刷新し,合計10個のビジネスユニットを設けた。このうち「ITプラットフォーム ビジネスユニット」は,組み込み機器などのハードウエア製品と企業情報システム向けの基盤ソフトウエア製品の両方の事業領域をカバーする。この事業遂行に必要な人材育成策の目玉となるのが,今回運用を開始したNECプロフェッショナル認定制度(ソフトウェア系)である。組み込み機器開発に占めるソフト開発の比重が急速に増していることも背景にある。

人材タイプとスキルレベルを基に17の人材像を定義

 NECが定義した6つの人材タイプのうち,ETSSの職種と明確に対応づけたのは,ソフトウェア(以下SW)プロジェクトマネージャ,SWアーキテクト,SWプロダクションエンジニア,SWアドバンストテクノロジスト,SWエンジニアリングプロフェッショナルの5タイプ。このうち,SWプロジェクトマネージャとSWエンジニアリングプロフェッショナルは,それぞれETSSの3職種を統合して定義した。

 一方,残る1職種のソフトウェアプロダクトプランナ(プロダクトライン全体を考慮した商品企画を行う人材)は,「ETSSでは定義されていないが,ソフト技術者の人材像を考えるうえで不可欠」(丸山好一 執行役員常務)との判断から,NECが独自に定義した。

 NECプロフェッショナル認定制度では,それぞれの人材タイプに,「上席プロフェッショナル」「プロフェッショナル」「スペシャリスト」「アソシエイト」という4つのスキルレベル(NECは「バリューレベル」と呼んでいる)を設定した。上席プロフェッショナルとプロフェッショナルはETSSにおけるハイレベル(それぞれレベル7とレベル6)に,スペシャリストはミドルレベル(レベル4)に,アソシエイトはエントリレベル(レベル2)に相当する。

 SWアーキテクトは上席プロフェッショナルとプロフェッショナルだけ,SWプロダクションエンジニアはスペシャリストとアソシエイトだけ,という具合に,人材タイプによって必要とされるレベルが異なる点はETSSと同じである。人材タイプとレベルの組み合わせにより,合計17種類の人材像を定めた。

 この枠組みに基づいて,NECやグループ各社が事業を展開するうえで必要とされるソフト技術者の人材像と保有すべきスキルセットを明確化し,技術者のレベル認定の仕組みや処遇を規定した。これにより,個々のソフト技術者に対して,目指すべきキャリアパスを提示し,キャリアアップやスキルアップに対するモチベーションを高めることを狙う。併せて,事業計画に沿ってどんな人材を何人養成すべきか,といった人材育成計画に役立てる。

 NECは同制度の運用に当たり,ソフト技術者が17種類の人材像のそれぞれにふさわしいかどうかを,必要とされる業績やスキル,保有資格,研修受講歴などに基づいて認定し,昇給・昇格の条件としても使う。最上位の上席プロフェッショナルの認定には,役員や外部識者による面接を含む厳しい条件をクリアすることが必要となるが,認定されたソフト技術者の年収はラインの事業部長クラスになるという。

 NECは17種類の人材像全体で,「今後,約5000人の認定を目指す」(人事部の高橋信子 人材開発マネージャー)。当面は同制度を人材育成に活用していくが,「今後,認定者の数が増えれば,必要な人材像や人数に基づくプロジェクト編成や人材配置などにも活用したい」(丸山常務)としている。

表   NECプロフェッショナル認定制度(ソフトウェア系)で定義された6つの人材タイプ
人材タイプの名称 人材タイプの内容 対応するETSSの職種 レベル
ソフトウェア
プロダクト
プランナ
プロダクトライン全体を考慮した商品企画を行う人材 なし 上席プロフェッショナル~スペシャリスト
ソフトウェア
プロジェクト
マネージャ
プロダクトの提案,計画,管理・推進・統制を行い,最終成果物のQCDに対して責任を持つ人材 プロダクトマネージャ,プロジェクトマネージャ,ブリッジエンジニア 上席プロフェッショナル~スペシャリスト
ソフトウェア
アーキテクト
イノベーターとしてソフトウェアのコンセプトを策定し,アーキテクチャを構築する人材 システムアーキテクト 上席プロフェッショナル~プロフェッショナル
ソフトウェア
プロダクション
エンジニア
特定のソフトウェア領域における深い知識を有し,ソフトウェアの開発・保守・技術支援を行う人材 ソフトウェアエンジニア スペシャリスト~アソシエイト
ソフトウェア
アドバンスト
テクノロジスト
特定の技術領域に秀でた人材(技術者) ドメインスペシャリスト 上席プロフェッショナル~スペシャリスト
ソフトウェア
エンジニアリング
プロフェッショナル
ソフトウェア開発プロセスの成熟化をリードする人材,および,ソフトウェアの開発品質の向上を推進する人材 サポートエンジニア,QAスペシャリスト,テストエンジニア 上席プロフェッショナル~アソシエイト