富士ソフトABCの2006年3月期決算は、売上高が対前年度比7.7%増の1795億500万円と9期連続で増収となったものの、トラブルプロジェクトに関連する処理のために26億4800万円を特別損失として計上したことが響き、当期利益は同7.5%減の49億3800万円となった。営業利益が同10.3%増の120億7800万円、経常利益が同9.7%増の120億1300万円だった。
分野別の売上高では、主力の「ソフトウエア開発関連事業」のうち、組み込みソフトなどの制御系が578億9300万円で対前年度比20.3%増と大幅に伸びたのに対して、業務系は同1.9%増の413億2400万円にとどまった。システム保守・運用などを手掛ける「アウトソーシング事業」は同9.9%増の405億6900万円。物品販売を含む「ソリューションサービス事業」は、単純な物販を減らしていることもあり、同12.9%減の293億6100万円だった。
連結子会社は現在13社(サイバネットシステム子会社2社を含む)。連単倍率は売上高で1.76倍、当期利益で1.75倍だった。各社黒字を計上し、富士ソフトDISを除いて増収だった。なかでもヴィンキュラムジャパンが好調で、売上高が対前年度17.7%増の126億500万円、当期利益は39.0%増の5億8200万円となった。一方、DISは、富士ソフトABCが買収するまで親会社だったダイエーがDISとの取引関係を見直した関係で、売上高が同9.4%減の287億8600万円に落ち込んだ。
富士ソフトABCは、「トラブルゼロ」を掲げて内部統制の強化に取り組んでおり、受注計上の厳格化や選別受注などを進めている。トラブルプロジェクトの“損切り”もその一環。今期にまたがるトラブルプロジェクトも、前期にほぼ処理を終えたとしている。「ウミは出し切った。今期は増収増益に戻し、もう一度成長路線が可能な会社にする」と野澤宏会長兼社長は話す。
2007年3月期通期業績は、売上高が対前年比3.1%増の1850億円、営業利益が6.8%増の124億円、当期利益が25.6%増の62億円を予測する。連結子会社では、DISが引き続き減収(同14.4%減)。東証コンピュータシステム(TCS)も東京証券取引所との契約関係の見直しにより、大幅減収(同27.4%減)に陥る見通し。このため、「DISとTCSについては経営指導を強化する」(野澤会長兼社長)としている。