北関東を中心に家電量販店を240店展開するギガスケーズデンキが、SCM(サプライチェーン・マネジメント)の強化に乗り出した。同社では在庫数量がある基準点を割るとメーカーに自動発注する仕組みを構築しているが、この基準点を見直すことなどによって在庫削減を目指す。

 ギガスケーズデンキは「新製品が安い」のキャッチフレーズを掲げて成長を続けている。売れ筋商品をメーカーから確保するために2000年6月から、社外秘だったPOS(販売時点情報管理)データを取引先メーカーに開示し、共同でSCMに取り組んできた。当初はソニーや松下電器産業など大手電機メーカー20社が対象だったが、現在は43社にまで拡大。全社売上高の80%以上の商品でSCM体制を構築している。

 メーカーとの情報共有の流れはこうだ。まずケーズデンキは、毎週全店のPOSデータと在庫、需要予測、販売促進の計画を電子メールでメーカーに送る。一方、メーカーはケーズデンキから受け取った情報を基に策定した販売計画や向こう3週間の納品計画、半年間の新商品の発売計画を公開する。

 同社はこれまで、品切れ防止優先でSCMに取り組んできた。というのも「お客様は、欲しいと思った商品を来店してすぐに持ち帰ることができないと、2度と来ていただけないほど厳しい」(布袋田晋専務)からだ。そのため、自動発注の基準点を高めに設定し、在庫を多めに持っていた。

 しかし、協働SCMが軌道に乗り、メーカーからの商品供給が安定したため、在庫削減に目を向けた。この4月からは自動発注の基準点を下げ始めた。さらに、基準点自体の見直しのサイクルを、従来の3カ月から1カ月に短縮し、適正な基準点に柔軟に変更できるようにする。

 また、自動発注の基準点の設定パターンも簡素化する。従来は、売り場面積や競合店の状況など店舗の事情を考慮して60パターンあった。これを20パターン程度にまで抑えて、「例外」を極力無くす。各店舗に在庫削減をこれまで以上に意識させるためだ。

 全社での在庫削減を進めるため、冷蔵庫など大型商品の保管体制も見直す。大型商品は在庫がかさばるだけでなく高額商品であるため効果が大きい。地方店舗などでは、大型商品の在庫を自店で抱えているところもあったが、全国に8拠点ある配送拠点に集約する。

 布袋田専務は、こうした一連のSCM強化により、「3年かけて在庫回転数を(現在の2倍に当たる)12回転まで向上させたい」と意気込む。