千葉工業大学は2006年6月5日、災害現場などで被救助者の発見に使うレスキューロボット「Hibiscus」を発表した。地震で倒壊した建築物の内部から生存者を探すといったレスキュー作業に使う。東京消防庁の消防救助機動部隊と共同研究を進め、1年後の実用化を目指す。
従来型では、本体の左右だけにクローラー(履帯)を配置していたが、がれきの状況によっては、クローラーが空転し、走行しづらい場合があった。「Hibiscus」では機体全体をクローラーで覆う設計として、凹凸のあるがれきの上を安定走行できるようにした。前部のクローラー(アーム)は上下に動く設計となっており、障害物の状況によって角度を調節できる。最大40cmの段差を乗り越える能力を持つ。前部の車輪は、直径を大きくして、がれきのすき間に突き刺さりにくくした。
上部にはカメラを搭載しており、無線LAN経由で遠隔操作できる。被救助者を発見するための赤外線熱感知センサーやサーモグラフィーも搭載する。汎用のジョイスティックで進行方向や速度を操作する。現状でカメラ越しの遠隔操作で障害物上を走行するには、ある程度の操縦技術が必要。レスキュー隊の訓練にかかる負荷を低減するため、電流センサーによるアームの自動制御で、より簡単に障害物を走行できるよう改良していく。
制御用のCPUはSH4で、OSはNetBSD。電源はリチウムポリマー電池。車体の大きさは縦65×幅37×高さ18cm。重量は22.5kg。開発時の製造費用は約500万円。量産後は300万円以下となる見通し。