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オラクルのウォルベン氏 「既存システムや導入済みのERPパッケージ(統合業務パッケージ)のリプレースを狙うことはしない。導入した製品が効果を上げているにせよ上げていないにせよ、顧客が同じだけのコストを使うことはない。我々が狙うのは、こうした導入済みのシステムを当社のアプリケーション製品で“包囲”することだ」。日本におけるオラクルのアプリケーション事業を統括する、米オラクル 日本アプリケーション・ビジネス担当上級副社長のディック・ウォルベン氏(写真)は6月14日、アプリケーション事業の戦略説明会でこう語った。

 「7カ月前に日本に来る前に、ERPパッケージに関する統計データを聞かされていた。日本企業のうち、65%がERPを導入済み、20%が導入中、15%が未導入、というものだ。日本に来てからも、そうした状況でアプリケーション事業をどう成功させるのかとよく聞かれたものだ。そこで私は昨年12月のミーティングで、『こんな統計データは信じていない』と話した。もっと重視すべきことがあると考えているからだ。どれほどの企業が『投資しただけの価値を得ているか』というのがそれだ」。

 「グローバルの調査では、ERPパッケージを導入した企業の約70%が『期待した効果が得られていない』と回答している。また、CRM(顧客関係管理)パッケージを導入した企業のうち、半数以上が1回目の採用に失敗している。多くの企業が、投資はしているものの、それに見合う効果を得ていないのが現状だ。ここにこそ、我々にとってチャンスがある」。

 オラクルは自社製ERPパッケージのOracle E-Business Suiteに加えて、ピープルソフトやJDエドワーズのERPパッケージ、シーベルシステムズのCRMパッケージ、さらに金融や製造業、流通業向けの業務パッケージなどを買収によって手中に収めてきた。「現在では当社は、300を超えるアプリケーション・モジュール、400を超えるビジネス・プロセスを提供できる」。

 こうしたラインアップの豊富さを生かして、レガシー・システムやERPパッケージを利用している顧客に対して、“追加機能”の位置づけで製品を売り込んでいく。「こうして四つか五つ、当社のアプリケーション製品を導入してもらう。その結果、従来のERP製品と違って顧客に価値を提供することが判明し、運用上も特に問題ないのであれば、次に顧客がERPシステム全体を移行する時期に、デフォルトで当社製品を選ぶはずだ」。まず相手を包囲し、時期を見て乗っ取るというアプローチである。

 もちろん、この戦略を実行に移すためには、製品が優れているのはもちろん、日本オラクル本体やパートナー企業の提案力やコンサルティング力の高さが要求される。ウォルベン氏はこの7カ月で、「需要の喚起」というキーワードのもと、アプリケーション事業のテコ入れを急ピッチで進めているという。いまだにデータベースやミドルウエア事業が中心とのイメージが強い日本オラクルで、アプリケーション事業を真の意味で“柱”にできるか。ウォルベン氏の手腕が問われる。