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男性が開設していた「Streaming Station」のトップページ。現在は閉鎖されている
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「ドラえもん のび太のワンニャン時空伝」を再生しているところ。「レンタルしたDVDをコピーしたというが、画質は非常にクリアだった」(ACCS)
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「著作権侵害の確信犯とは、今後も戦っていく」と述べるACCSの久保田氏
「著作権侵害の確信犯とは、今後も戦っていく」と述べるACCSの久保田氏
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AJAの青野氏。「会員企業のコンテンツでも、まだ削除できずに残っているものがある」と動画共有サイトの著作権侵害について語った
AJAの青野氏。「会員企業のコンテンツでも、まだ削除できずに残っているものがある」と動画共有サイトの著作権侵害について語った
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 福岡県警生活経済課と小郡署は2006年7月4日、自らが開設するWebサイトにおいて、映画などの映像コンテンツを権利者に無断でストリーミング配信していた男性を著作権法違反の疑いで逮捕した。映像ストリーミング配信による著作権侵害行為の摘発は、国内初。

 この男性は、岐阜県各務原市で自営業を営む41歳。「Streaming Station」という名のWebサイトを開設し、会員に対して格安の料金で多数の映像コンテンツを閲覧させていた。公開されていたのは、「機動戦士ガンダムI」「ドラえもん のび太のワンニャン時空伝」「半落ち」など合計759作品。これらの映像コンテンツはすべて、レンタル店で借りたDVDを権利者に無断でコピーしたものだという。

 Streaming Stationの会費は月額980円。この価格ですべてのコンテンツを閲覧できた。会員数は多いときで約70人、逮捕時点では約40人。男性はこのサービスを通じて、約40万円の売り上げを上げていた。2006年2月に、Stream Stationの会員だった福岡県の男性が、福岡県警に違法サイトではないかと相談。同県警は捜査を開始するとともに、コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)や日本動画協会(AJA)から情報提供を受け、今回の逮捕に至った。

 ACCSやAJAは、2005年12月に男性の著作権侵害行為を把握。2006年2月から数度にわたり、侵害行為をやめるよう文書や電話で男性に警告していた。男性からは当該サイトを消去した旨の回答が返されたこともあったが、実際には侵害行為を継続。ACCSやAJA以外の団体も同様の警告をしていたが、改善は見られなかったという。「映像配信の市場規模は急速に拡大している。国を挙げて健全なコンテンツ流通を目指している中で、今回の事件は大変意味のあるものだと考えている」(ACCSの専務理事・事務局長である久保田裕氏)。

 映像コンテンツに関しては、このところ急増している画像共有サイトに見られる著作権侵害も悩みの種だ。ユーザーが権利者に無断でコンテンツをインターネット上に公開する例が後を絶たず、「発見した場合は削除要請を出しているが、またすぐに公開されるのでいたちごっこになってしまう。“公開させない”ことが重要だ」(AJAの青野史郎著作権委員長)。国内でもこうしたサイトの開設が相次いでいるが「サイトの開設者と協力し、著作権について詳しくない人が違法にコンテンツをアップロードしないよう、投稿時の注意などの情報提供をしていきたい」(ACCSの久保田氏)。