日本ヒューレット・パッカード(HP)は7月6日、iSCSIインタフェースを備えたディスクアレイ装置「HP StorageWorks Modular Smart Array(MSA)1510i」と、同じく仮想テープライブラリ「HP StorageWorks 1002i Virtual Library System(VLS1002i)」の販売を開始すると発表した。中堅・中小企業市場をターゲットとした製品で、出荷開始はMSA1510iは7月下旬、VLS1002iが8月上旬となっている。
これまで中堅・中小企業は、サーバーに直接つなげる外付けストレージを使うケースが多かった。「中堅・中小企業でもデータ量の増大、管理の複雑化が進んでおり、ネットワークストレージによる運用の効率化を求められている」(エンタープライズストレージ・サーバ統括本部の渡辺浩二ストレージワークス製品本部本部長)という。ただし、SAN(ストレージ・エリア・ネットワーク)機器を使うと、中堅・中小企業にとってはコストがかかりすぎるという問題があった。
MSA1510iはハードディスク容量は最大16.8テラバイト。iSCSIインタフェースを使うため、同等のSAN機器に比べて安価にすむ。高価なファイバチャネル(FC)コントローラやインタフェースが不要になる上、サーバーと接続する際に専用のFCスイッチではなく安価なLAN用スイッチが使えるからだ。
VLS1002iは、ハードディスクを多数の磁気テープ装置のように仮想化して使えるバックアップ用ストレージ。サーバー側の構成は変更せず、テープにデータをバックアップする仕組みのままで、テープの物理的な検索や入れ替え作業などの手間が不要になるというメリットがある。この製品もiSCSIインタフェースを備える。
価格はMSA1510i、VLS1002iともに71万4000円からとなっている。大内剛ストレージ・ワークス製品本部プロダクトマーケティング部部長は、「既存のFCを使うMSA1000/1500を1テラバイト構成でスイッチなどの周辺装置を含めると300万円くらいかかる。それがMSA1510iを使うと150万~200万円、それ以下で済む場合もある」と語る。
日本HPではサーバーのiSCSI対応をすでに進めており、「サーバーからストレージまでの製品、構築支援によりトータルなソリューションとして提案できるのが売り」(大内部長)となる。中堅・中小企業市場はパートナー販売が主体になるため、パートナーのトレーニングを進めていくとともに、ネットワークストレージの販売実績があるパートナーを支援して早急に実績を作る意向だ。
iSCSIを使うストレージは、3、4年前から各社が発売していたがなかなか市場に広がらなかった。渡辺本部長は、「市場調査では来年のiSCSI市場規模が約20億円となっているが、新製品の投入を機にその何倍にもしていきたい」と意気込む。
併せて同社は、ハイエンドストレージ用のiSCSIインタフェースモジュール「HP StorageWorks Enterprise Virtual Array iSCSI接続キット」と 「HP StorageWorks XP12000/10000 8ポート Gb iSCSI CHIP」を7月下旬から出荷すると発表。これにより、同社のStorageWorksブランドのディスクアレイ装置と仮想テープライブラリ装置がすべてiSCSI対応になった。