写真:ソニー生命保険の河村芳樹氏(右)。左がガートナー ジャパンの飯島公彦氏
写真:ソニー生命保険の河村芳樹氏(右)。左がガートナー ジャパンの飯島公彦氏
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 「メインフレームに代表されるレガシー・システムというとネガティブな響きがある。しかし生保に関して言えば,業務に関わるルールやノウハウの集大成で,貴重な資産。この資産をどう活用するかがポイントだ」----。ソニー生命保険の河村芳樹 業務プロセス改革本部情報システム2部統括部長は,システムのポイントをこう語る。情報システム2部は,IT戦略の立案,インフラ構築,システム運用の総括,ヘルプデスクを担う。1部はアプリケーションの開発・保守を担当する。

 河村氏は調査会社ガートナー ジャパンが7月19日から20日に開催した「サービス指向アーキテクチャ(SOA)サミット2006」のセッションで,生保業の特性や,そこから導き出された業務システムのポイントについて語った。以下は発言の要旨である。内容には一部,インタビュアーを務めたガートナー ジャパン リサーチディレクターの飯島公彦氏の発言も入っている。

資産化したメインフレーム

 ソニー生命の基幹業務は,米IBMのメインフレームで処理している。生保のシステムで扱うデータや業務ロジックは,ライフサイクルが長い。20代で保険を契約すると考えると,60年間その契約データを保持することも珍しくない。

 一方で生保業界は競争も激しく,タイミング良く新商品を提供していく必要がある。一般的にメインフレームに代表されるレガシー・システムは,スピードという面では不利とも言われている。

 だからかレガシー・システムにはネガティブなイメージがある。一時期,「脱メインフレーム」という流れがあったことがその象徴だ。しかし生保のメインフレームには業務ロジックを含め,企業のノウハウが集大成として詰まっている。ソニー生命にとっては,貴重な資産と言って良いだろう。保険のロジックを一から実装するのは大変な労力がかかる。

うまく使わないと足かせにも

 メインフレームは業務に大きく貢献している。ただし,ソフトウエアの設計には重々気を付ける必要がある。うまく使わないと足かせにもなる。

 設計をきちんと施さないと,新規に追加した機能が既存のロジックに影響を及ぼすおそれがある。これは基本だが,プレゼンテーション・ロジックと業務ロジックを明確に分ける設計を心がけたり,共通化できるルーチンを作った上で,きちんとメンテナンスし続けることがポイントだ。このような設計を心がけたアプリケーションは,10年以上も問題なく動いている。設計を大事にする,という意味では,SOAやEA(エンタープライズ・アーキテクチャ)の考え方と共通するところもあるだろう。

 メインフレームを使い続ける企業は,業務ロジックには手を付けず,外部から利用し続ける“塩漬け”という道を選択することが多い。しかしソニー生命の場合は,大いに活用する道を選んでいる。