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 NTTデータは7月28日、旅行大手の近畿日本ツーリストの100%子会社である近畿日本ツーリスト情報システムの買収に関して、基本合意に達したことを発表した。近畿日本ツーリスト情報システムの発行済み株式の51%をNTTデータが譲り受ける。買収金額は非公開。

 近畿日本ツーリスト情報システムは売上高28億8500万円(2005年9月期)、従業員数100人の企業。現在は近畿日本ツーリスト向けのシステム構築事業がほとんどだが、新会社では外販も実施していく。新会社の仮称はエヌ・ティ・ティ・データ・テラノス。資本金1億円、従業員数90人で今年10月に発足予定だ。NTTデータから取締役3人と監査役1人、近畿日本ツーリストから取締役2人を送る。新社長は発足までに決定する。

 NTTデータは今回の買収を機に、近畿日本ツーリストからの受注を狙うほか、旅行・運輸・交通業界向けビジネスの足がかりにする考え。これまで、旅行業界向けの案件はほとんど受注できていなかった。一方、近畿日本ツーリストは「新会社がNTTデータのプロジェクト・マネジメント力、先端技術、人材育成ノウハウなどを活用することで、自社へ最適なシステム提案をすることを期待している」(広報)。同社は今、業務システムのメインフレームからオープン系サーバーへの移行を検討している最中だ。

 今回の発表は、NTTデータが進めている「ITパートナー戦略」の一環。企業のシステム子会社を買収し、元親会社の案件を受注することで連結売上高を拡大させる。2006年3月期の決算発表で、「2006年度はM&Aで220億円の売り上げ増を見込む」(浜口友一社長)と宣言している。今年度中にあと200億円弱を企業買収で拡大することになる。ちなみに昨年は積水化学、03年はセイコーインスツルといった企業のシステム子会社を買収している。