現在までのところアナログテレビから,デジタルテレビをはじめとする地上デジタル放送受信機への買い替えが計画通り進んでいる。放送業界や家電業界が共同で掲げた最初の普及目標は,サッカーのワールドカップ(W杯)ドイツ大会が開かれる2006年6月~7月までに,全国1000万世帯に1200万台のデジタル放送受信機を行き渡らせることだった。この第一関門は,ほぼクリアしたとみられる。
最終目標は地上アナログ放送が終了する2011年7月までに,1億台のデジタル放送受信機を普及させることである。混乱なくアナログ放送を終了させるために,普及台数が1億台前後といわれるアナログテレビから,デジタル放送受信機への買い替えを完了させることを目指す。その最終目標に向けて,幸先の良いスタートとなった。
ところが,盲点となっている受信機がある。車載型のアナログテレビだ。地上波放送のデジタル化で先行する米国であれば,車載型のアナログテレビについて考慮する必要があまりない。自動車にテレビを設置する位置が法律で厳しく規制されており,ほとんど普及していないからだ。しかし日本の場合は,規制が米国ほど厳しくないこともあって,出回っている車載型アナログテレビは2000万台に達している(詳細は日経ニューメディア2006年8月7日号に掲載)。