日本ビジネスコンピューター(JBCC)は8月22日,東京の台場で「JBCC IGUAZU IT Forum 2006」を開催,最新技術ブースにおいてオートノミック・コンピューティングのデモを実施した。
「オートノミックというと,大手企業の大規模な企業システムのリソース使用率を上げる技術という印象があるが,中堅・中小企業のシステムならではの有効な活用法がある」と,ソフトウェア事業部 ソフトウェアマーケティング & Linuxセンター 技術支援ゼネラル・マネージャーの浜口昌也氏は語る。
JBCCは昨年6月,同社のデモ・検証・センター「SLCC(Solution Competency Center)」に,IBMの仮想システムソリューション「IBM Virtualization Engine」とオートノミック・コンピューティング・ツールキット「AC Toolkit」による検証環境を導入。IBM iSeriesをベースにした仮想システム環境の構築支援やオートノミックによる最適化ソリューションに力を入れてきた。
この4月からは,JBCC社内でオートノミックを実際に運用して実用性評価を行っている。同社の営業担当者600人は自社製品の「情報共有日報」というWebベースのCRMソフトを使っており,その運用管理にオートノミック・ツールを適用した。「ハードウェア,ネットワーク,ミドルウェアからアプリケーションに至るまで,システムが複雑化するにつれて技術者も専門化し,互いにコミュニケーションを取りづらくなっている。オートノミックによりシステム自身が障害の原因を特定することで,問題の早期解決につながる」と浜口氏は導入効果を説明する。
専門技術者を多数抱えることが難しい中堅・中小企業にとって,障害時の回復コストを削減できることが最大の導入メリットになる。同社は日本IBMが9月に開催する「IBM Autonomic Computing Day 2006」でも,この事例について報告する。
早ければ12月にも,JBCCは自社パッケージにオートノミック機能をアドオンした製品を提供する予定だ。顧客とともにブラッシュアップしてツールの実用性を高めていく。最終的には,オートノミックによる運用コスト削減とサービス品質向上を,ソリューション提案の切り札の一つにしたい考えだ。