キヤノンは2006年8月24日、デジタル一眼レフカメラのエントリーモデル「EOS Kiss Digital X(エックス)」を発表した。「X」の由来はEOS Kissシリーズで10台目の製品であることと、10メガ相当の画素数を備えることを意味する。本体カラーはブラックとシルバーの2種類。発売予定は2006年9月8日で、本体のみの想定実勢価格は9万円前後となる。
EOS Kiss Digital Xは、2005年3月に発売した「EOS Kiss Digital N」の後継機に当たる。有効画素数が800万画素から1010万画素に増えた。上位モデルのEOS 30Dと同じ9点測距のオートフォーカスを採用し、従来機と比べて中央部分のピント合わせでより高い精度が得られる。起動時間は0.2秒で、1秒間に3枚の連写を最大27枚撮影できる(設定はJPEG、ラージ/ファイン)。液晶モニターのサイズは従来機の1.8型から2.5型に大型化した。
レンズ交換式の一眼レフカメラは、レンズを取り替える際などに微小なゴミが入り、撮影画像にゴミが写るという問題を抱える。EOS Kiss Digital Xでは、撮影画像に写るゴミを除去するために、新開発のゴミ除去システム「EOS Integrated Cleaning System」を採用した。これは「ゴミを出さない、付けない、残さない」という3つの側面から総合的にゴミを除去するもの。
第1にゴミの発生を防ぐため、カメラ内部には、削れにくい素材やゴミやホコリが出にくい機構を採用した。第2にゴミが付着する原因の一つである静電気の発生を抑えるため、各種部品に静電気が溜まらない工夫を施した。第3にそれでも残ったゴミを除去するため、撮像素子の前にあるローパスフィルターを超音波によって振動させ、ゴミを振るい落とす「セルフクリーニングセンサーユニット」を搭載した。
超音波振動では振るい落とせない粘着性のある汚れについては、アプリケーションの機能で対応する。同梱のアプリケーション「Digital Photo Professional 2.2」には、ゴミの位置を検出して自動的にゴミを消去する「ダストデリート」機能を搭載した。
EOS Kiss Digital Xのターゲットユーザーは30~40代の子育て世代で、銀塩カメラやコンパクトデジタルカメラからの移行を狙う。「9月の発売から12月までの4カ月間で、デジタル一眼レフでは約45%のシェアを確保する」(キヤノンマーケティングジャパン専務取締役コンスーマイメージングカンパニープレジデントの芦澤 光二氏)と見込んでいる。
標準的な交換レンズ「EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM」が付属する「EOS Kiss Digital Xレンズキット」(想定実勢価格は11万円前後)と、同様のレンズに加え焦点距離が最大320mm相当(35mm換算)の望遠レンズ「EF55-200mm F4.5-5.6 II USM」が付属する「EOS Kiss Digital Xダブルズームレンズキット」(想定実勢価格は13万円強)も用意する。