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 テレビ番組で使ったすべての楽曲を正確に報告してほしい――。日本音楽著作権協会(JASRAC)と日本レコード協会,実演家著作隣接権センター(CPRA)の3団体は,民放事業者に対して順次,テレビ番組で使ったすべての楽曲をJASRACなどの権利者団体に伝えるように働きかける方針だ。具体的には,番組で流れた楽曲を「フィンガープリント技術」を利用してすべて特定できるようにする仕組みの整備を提案する予定だ。

 放送事業者は,音楽CDなど「商業用レコード」を使用して制作した番組を放送する場合,楽曲の著作権使用料を権利者に支払う必要がある。NHKと日本民間放送連盟は,JASRACと楽曲使用の包括契約を結び,JASRACに一括して年間使用料を支払っている。ところが,その使用料は必ずしも正確に権利者へ分配されていないのが現状だ。JASRACによると,NHKは「全曲報告」を実現しつつあるが,民放事業者の取り組みが遅れているという。JASRACは放送事業者が全曲報告を実施していない場合,13週間ごとに1~2週間のサンプリング調査を実施し,その結果を基に使用料を分配している。このため,サンプリング調査で把握されなかった楽曲については,その権利者が使用料を受け取れない状況になっている。

 このためJASRACと民放連は2001年に,民放事業者が番組中に使った音楽CDなどの楽曲をJASRACにすべて報告する全曲報告の仕組みが必要であると申し合わせた。これを受けて2006年4月から,在京キー局5社が一部のテレビ番組で全曲報告を順次開始した。ただし,現時点で全曲報告の対象はテレビドラマだけであり,ほかのジャンルの番組は後回しになっている。民放事業者は楽曲の全曲報告の重要性を認識しつつも,手が回っていない状況のようだ。このような民放事業者の姿勢に,権利者団体は不満を感じている。ある権利者団体の関係者は,「サンプリング調査による分配方式が導入されたのは30年以上も前。放送事業者はいまだにその仕組みに頼っている」と不満を漏らす(詳細は日経ニューメディア2006年8月28日号に掲載)。