雑誌の定期購読申し込みサイト「Fujisan.co.jp」を運営する富士山マガジンサービスは2006年8月31日、米国で電子雑誌の販売実績がある米ジニオ・システムズと提携して、2006年秋から電子雑誌発行を本格的に開始すると発表した。
同社が提供する電子雑誌を閲覧するには、電子雑誌の定期購読が必要。サービスを利用すると、該当雑誌の最新号が発売になる日に、雑誌のデータを自動的にダウンロードし、利用者のパソコンに保存。パソコン上で雑誌の誌面を閲覧できるようになる。ただし、著作権保護機能を備えており、ほかのパソコンにデータコピーして見ることはできない。「料金は出版社によるところが大きいが、米国ではビジネス誌や技術関連の雑誌のデータは、紙媒体より安く提供される傾向があるようだ」(富士山マガジンサービス)という。
閲覧には富士山マガジンサービスが無料で提供する「Fujisan Reader」が必要。Fujisan Readerは米ジニオ・システムズ開発の「Zinio Reader」を基に、ローカライズしたものだ。Fujisan Readerの特徴は雑誌をめくるような感覚で閲覧できること。拡大・縮小機能や、ハイライトを引いたり、メモを入力したりする機能も備える。キーワード検索も可能だ。電子媒体上のURLには直接リンクがはられ、製品などをインターネット経由で購入できるサービスも行う。
出版社は電子雑誌にしたい雑誌のPDFを富士山マガジンサービスに納品する。販売手数料が数十%、電子ファイルの作成料が1ページ200円、配信料が1部55円発生する。出版社の希望によって、ダウンロードした電子雑誌に印刷制限やスクリーンキャプチャーの可否などを設定することもできる。電子雑誌中に動画を埋め込むこともできるため、「インタビュー記事や報道記事、広告などで活用してもらえると考えている」(富士山マガジンサービス)という。
Fujisan.co.jpでは現在、2300誌以上の雑誌の購読と600誌以上のバックナンバーの購入ができる。米ジニオ・システムズはFujisan.co.jp同様のWebサイト「Zinio」において、約340万人の読者を抱え、現在400誌以上の電子雑誌を配信、これまでに4000万部以上の電子雑誌配信実績があるという。
出版業界では主婦の友社や小学館などを始め、電子雑誌の展開に積極的な出版社が増えつつある。今回、雑誌のオンライン書店では国内最大規模のFujisan.co.jpが電子雑誌販売を本格的に推し進めることによって電子雑誌への注目がさらに高まりそうだ。