さいたま市は、10月1日にCIO(情報統括監)とCIOチーム(組織上の正式名称は、政策局情報統括監付)を設置する。「CIOチームの設置は政令指定都市では初の試み」(さいたま市政策局政策企画部情報政策課の斉藤義雄課長)という。CIOには局長クラスの職員が専任で就任し、その下にCIO補佐官2人と職員5人の計7人がCIOチームとして組織化される。
CIOチームには、現在情報政策課が手がけている業務の一部を移管する。具体的には、(1)情報システムの最適化に向けた方針や規約・基準の策定、(2)ガイドラインや基準適用状況の監理、(3)情報化関連予算の要求・執行に当たっての必要な調整、(4)情報セキュリティ対策、などとなっている。情報政策課からは、現在11人が在籍しているうちの4人がCIOチームに異動になる。ちなみに今後同課は、実際のプロジェクト運営のような最前線の仕事ではなく、さいたま市の将来の情報政策のあり方、住民に使い勝手のいい電子申請など、企画や構想に関する仕事を手がける。
CIOチームが担う最大の業務は、基幹系システム刷新計画である。さいたま市では、今年度から2009年度にかけて総額51億円を投じ、現在使用している基幹系システムを、現在の汎用機ベースのシステムから、オープン系のシステムに刷新する。今年と2007年は税関連のシステムを、2007~2008年に住民記録と国民健康保険のシステム、2008年~2009年にその他のシステムを入れ替える。目的はコストの削減にある。刷新によって、現在年間50億円近くかかっている経費を、30億円台まで減らす計画だ。
「2001年の合併時に大改修をしているが、そろそろ限界に来ている。加えて、住民記録システムは旧大宮市のものを、税は旧浦和市のものを利用しており、それぞれメーカーが違うために、非常に運用コストが高くなっている」(斉藤課長)。また現在は本庁舎内と大宮区内の防災センターの2カ所で管理している設備を、1カ所に集約する計画もある。
なお、CIO補佐官のうち一人は民間の専門家を採用し、もう一人は庁内職員が就任する予定。外部から登用したCIO補佐官は、業務・システム最適化に関するコンサルティングサービスを手がけるデュオシステムズの山口秀二取締役。さいたま市とデュオシステムズの間で業務委託契約を結び、週に1度同社より山口氏が派遣されてくるという形態になる。当初の契約は9月から半年間だが、「原則として、2年はやってもらいたいと考えている」(斉藤課長)という。「山口氏は専門的な知識を生かした提言や政策の立案を担当し、もう一人の補佐官は他の部局との内部調整を主に担当する」(斉藤課長)。という体制をとる。