マイクロソフトは9月7日,CRM(顧客関係管理)ソフト「Dynamics CRM 3.0」を9月8日に発売すると発表した。推定小売り価格はパッケージ版が38万5000円で,1ユーザー当たり19万3000円のクライアント・アクセス・ライセンス(CAL)が必要。最大75ユーザーまでの「Small Business Edition」の価格は12万2000円で,CALは10万2000円。
「Dynamics」はマイクロソフトの業務アプリケーションのブランドであり,CRMが日本市場での第一弾の製品となる。同社では2007年春に,ERP製品の「Dynamics AX」を第二弾として投入する予定。マイクロソフトのダレン・ヒューストン社長は「Dynamicsは私が米国で担当していた製品であり,非常に思い入れが強い。Microsoft Officeとの連携が可能で操作性に優れていることや,カスタマイズが容易であることなどを強く訴えたい」と語っている。
マイクロソフトが業務アプリケーションを販売することに関しては,システム・インテグレータなど国内パートナの反発も強い。そのため製品発表会では製品の画面紹介なども行わずに,パートナへの配慮を意識した発言や,パートナの紹介(大塚商会や沖電気工業)などを優先させた。マイクロソフトビジネスソリューションズ事業統括本部の宗像淳統括本部長は「今回推定小売価格を発表したが,Dynamics CRMは,パートナのサービスやソフトウエアと組み合わせて提供されるものなので,この価格だけが一人歩きすることはないだろう」と発言している。
米国では,Dynamics CRMのソフトウエア機能をASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)方式でMicrosoftが直接顧客に提供するサービスなども発表されているが「日本ではASPを提供する予定はない。パートナ・モデルを崩さない」(宗像統括本部長)と述べている。また2007年春に発売するERP製品の「Dynamics AX」についても「CRMと同じビジネス・モデルになる。パートナによるカスタマイズが必ず発生する」(同)と語っている。
今回の製品発表ではほとんど言及しなかったが,Dynamics CRMはMicrosoft Officeと深く連携した業務アプリケーションである。Webブラウザだけでも使用できるが,Dynamicsのクライアント・ソフトをインストールすると「Outlook」に専用のツールバーが追加され,電子メールやスケジュールなどを顧客データや営業案件と結びつけて管理できるようになる。詳しくは関連記事:「【TechEd】「OutlookをクライアントにするCRMソフト」を日本で初披露」を参照して頂きたい。