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IBM Rusty Russell氏
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IBM Theodore Ts'o氏
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Red Hat Diego Novillo氏
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富士通 五島康文氏
富士通 五島康文氏
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NTTデータ先端技術 Fernando Luis Vazquez Cao氏
NTTデータ先端技術 Fernando Luis Vazquez Cao氏
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Linux Symposium Craig Ross氏
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パネルディスカッション。左から司会のNEC OSS推進センター グループマネジャー 柴田次一氏,OSDL Tom Hanrahan氏,IBM Theodore Ts'o氏,独立行政法人 産業技術総合研究所 g新部裕氏,ミラクル・リナックス 小川浩史氏
パネルディスカッション。左から司会のNEC OSS推進センター グループマネジャー 柴田次一氏,OSDL Tom Hanrahan氏,IBM Theodore Ts'o氏,独立行政法人 産業技術総合研究所 g新部裕氏,ミラクル・リナックス 小川浩史氏
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 「Linuxカーネルにパラ・バーチャライゼーションが組み込まれるのは,2.6.20になるのではないか」---LinuxカーネルのメンテナであるIBMのRusty Russell氏は9月11日,OSDL Japanが主催したOSDL Japan Linux SymposiumでLinuxカーネルでのパラバーチャライゼーションの組み込みスケジュールについてこのような見方を明らかにした。

 パラバーチャライゼーション(疑似仮想化)とは,仮想マシンの方式のひとつ。物理ハードウエアをソフトウエアでエミュレーションするのではなく,OSを仮想マシン・モニタ(ハイパーバイザ)上で動くように修正することで,性能の低下を避ける。

 Russel氏は「Integrating Paravirtualization into the Linux Kernel」と題して講演した。現在Linuxカーネルには仮想マシンは標準では組み込まれていない。オープンソースのパラバーチャライゼーション方式の仮想マシン・ソフトウエアXenなどはあるが,Red HatやNovellなどのディストリビューション・ベンダーがXenを組み込むためのパッチを適用する形になっている。

 Russel氏は,Linuxカーネルへの正式なパラバーチャライゼーションの組み込みは,XenやVMwareの個別パッチを取り込むのではなく,paravirt_opsと呼ぶ共通インタフェースを使用する方法を選択したことを説明。「正式に組み込まれるのはカーネル2.6.20(現在の最新安定版カーネルは2.6.17.13)くらいになる」との予測を示した。

ext4では4Tバイト以上のファイルに対応

 IBMのTheodore Ts'o氏は「The Linux ext2/3/4 Filesystem: Past, Present, and Future」と題して講演。新しいファイル・システムであるext4などについて解説した。ext4では,4Tバイト以上の巨大なファイルへの対応,ナノセカンドのタイムスタンプ,現在3万2000までになっているサブディレクトリ数の上限撤廃,同時操作パフォーマンスの向上などを行うという。

 Red HatのDiego Novillo氏は「An Architectural Overview」と題して講演した。現在,フロント・エンドとバックエンドを分離するための新しい内部表現や,内部のモジュラリティの向上,Fortran 95,バッファ・オーバーフロー攻撃を防ぐためのスタック保護などに取り組んでおり,将来的にはJavaのバイトコードのようなバーチャル・マシン上でのJITコンパイラ開発なども検討していると語った。

 富士通の五島康文氏,NTTデータ先端技術のFernando Luis Vazquez Cao氏,Linux SymposiumのCraig Ross氏は,2006年7月にカナダのオタワで行われたLinuxカーネルサミットとLinux Symposiumの模様を報告した。

 LinuxカーネルサミットはLinus Torvalds氏,Andrew Morton氏,Alan Cox氏などカーネル開発の主要人物が集まり議論を交わす会議である。五島氏は,メモリ・ホットプラグなどの開発を手がけたカーネル開発者。五島氏はAndrew Morton氏による「カーネルの品質が低下しバグが増加していないか?」といった問題提起などを紹介した。

 NTTデータ先端技術のFernando Luis Vazquez Cao氏はLKDTT(Linux Kernel Dump Test Tool)のメンテナでありMkdump(Mini Kernel Dump)の開発者である。カーネルサミットにおけるダンプ機能に関する報告などを紹介した。

 Linux Symposiumは「30カ国以上から875名の参加者が集まり,カーネルやLinux Stanfdard Baseの現状報告などが行われた」(Ross氏)という。

コミュニティの開発に参加するには

 パネル・ディスカッションでは「オープンソース・コミュニティの開発に参加するには」をテーマに意見が交わされた。

 ミラクル・リナックスの小川浩史氏はLinuxからFATファイル・システムを扱うVFATのメンテナである。最初にVFATのパッチを投稿した時は,つたない英語で3行しか説明を書かなかったために,まったく反響がなかったという。そこで今度はなぜそのパッチが必要なのか詳しく説明したことでメンテナの目に留まり,取り込まれた。そうしてパッチを投稿しているうちに小川氏のところにパッチが送られてくるようになり,やがてメンテナにならないかと誘われた。最初にパッチを投稿してから約5年が経過していた。

 これらの経験から小川氏はコミュニティの開発に参加するには「パッチを書くだけでなく,なるべく詳しく説明しよう」と呼びかけた。

 IBMのTheodore Ts'o氏は「アイデアがあれば,コードを書く前にメンテナと話し合おう」と薦める。「メンテナの考えていることがあるかも。あるいは,他で重複する仕事が行われているかもしれない」(Ts'o氏)。

 SuperH向けLinuxカーネルのメンテナなどを務める独立行政法人 産業技術総合研究所のg新部裕氏は多くの人に受け入れられるには「他人にとって有用かどうか,という視点が重要」とアドバイスする。ただし「いいものであっても評価されるまでには時間がかかる。楽しみながら,休み休みやっていこう」(新部裕氏)。