「ポータルを中心とした上位レイヤー事業で一般消費者をつかみ,この経験やノウハウを法人向け事業にも生かす。これが新しいNTTコミュニケーションズのビジネス・モデルだ」--。NTTコミュニケーションズ(NTTコム)の野村雅行・代表取締役副社長は9月12日,東京・品川で開催中の「Network Summit 2006」で,「新しいビジネスのカタチを作り出す『ICT』」と題した講演に登壇。NTTコムの今後の戦略をアピールした。NTTグループは中期経営戦略の一環として,グループ内の法人営業部門と上位レイヤー・サービスをNTTコムに集約したばかりだ。
野村副社長は冒頭で,NTTコムの新体制について述べた。上位レイヤー・サービスについては,NTTレゾナントとぷららネットワークスを子会社化したことを改めて説明。さらにNTT東西地域会社から約1200人の営業人員,約1600社の法人顧客を移管して,NTTグループの法人営業を集約した。「グループの法人営業はNTTコムで今後強化していき,東西NTTやドコモとも連携する」。
NTTコムは今後,上位レイヤー・サービスと法人向けサービスの両事業をうまく連携させる方針。野村副社長は講演の中で,ICT(information and communication technology)やネット,Webの普及が,一般消費者の買い物や語らいの場,仕事のやり方などに変革をもたらしている点を強調した。
これらの変革が,ネット・ショッピングやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス),ブログ,テレワークなどと具体化しているため,「企業は顧客をつかむためのマーケティングやカスタマー・サービスの展開に“転換”が必要」と野村副社長は主張。そのため,「上位レイヤー事業を通じてコンタクトできる一般消費者と,法人ユーザーをつなげる役割をNTTコムが果たす。攻めの経営をICTで支援する」と宣言。こうした戦略の具体的な例として,直販サイトを立ち上げて販路を拡大した化粧品会社,コンタクト・センターのIP化と一元化を行って顧客満足度を向上させた航空会社など,NTTコムがこれまで手がけたソリューションの実例を紹介した。
また講演の後半では,現在主力となっているネットワーク関連の新サービスにも言及。割安な企業向けVPN(仮想閉域網)サービス「Group-VPN」のアクセスとして使うフレッツ網に,監視機能やバックアップ機能をオプションとして追加できる「フレッツマネージドサービス」を投入予定であることを明らかにした。「法人ユーザーの要望が大きいので,年内にはサービス提供したい」。
講演後に行われた公開質問では,NTTドコモとの連携について問われ,FMC(fixed mobile convergence)サービスの予定を明らかにした。「私見だが,FMCは当初は企業に浸透すると思う。NTTドコモが出した新型スマートフォンとセキュリティ・ゲートウエイなどを組み合わせたソリューションを提供したい。今秋には提供を始められるだろう」と答えた。