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豊田自動織機の竹内和彦前副社長
豊田自動織機の竹内和彦前副社長
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 「経営情報化サミット2006」(日経情報ストラテジー主催:9月6日開催)では,竹内和彦・豊田自動織機顧問(今年6月に副社長を退任,現在アドバンスト・ロジスティックス・ソリューションズ会長)が「トヨタ流カイカク~物流改革から経営改革~」と題して講演した。

 豊田自動織機はここ数年,物流関連のコンサルティング事業に力を入れている。竹内顧問は大手スーパーマーケットやコンビニエンストアの業務効率化に取り組んだ際の経験について語った。

 「トヨタ流で一番大事にしているのは手法ではなく,精神・文化・風土を変えていくこと。カイゼンする土俵を一緒に作りましょう,というのが我々のやり方。一方的に押し付けることはない」と語る竹内氏。

 例えば,全員参加による改善アイデアの提案制度と優秀なアイデアに対する表彰制度を打ち出したという。アイデアは掲示板に張り,情報を共有した。指導した小売業はいずれも先進的な大手企業。「業務に関するあらゆるデータを持っていたが,それがすべてオフィスのパソコンに保存されていた。そこで皆で共有して改善に役立てた」という。

 トヨタ流といえば「ムダ取り」が有名だが,コンサルティングでもその点は変わらなかった。

 竹内氏はスーパーのバックヤードを初めて観察した時,「忙しく走り回っている一方で,動きに多くのムダがある」と感じたという。

 具体的には3つのムダだ。1つ目は,同じトレイやダンボールの「取り置きのムダ」,2つ目は何かを運搬した帰りに何も持っていないなどの「歩行のムダ」。そして,置き場所を決めていないと発生する「捜すムダ」。

 こうしたムダの発生理由は,標準作業が決められていないこと。竹内氏らは,一番うまい作業者の技をマニュアル化した。そして職場の全員に覚えさせて作業手順や標準作業を統一した。さらに各作業にかかる時間を把握した。これにより忙しい時間帯を予測して,想定される作業量に合わせて人員を投入できるようになった。

 「ムダが多い職場は,人に作業がついている。トヨタ生産方式では,作業に人がついている」と竹内氏は強調する。

 作業の標準化は「多能工化」につながる。「職場で1人しか刺身を作れないというケースがよくあった。そのような店舗では,大量に刺身を作り,売れ残って廃棄していた」(竹内氏)。

 トヨタ流では,1人の従業員が複数の作業をこなせるようにする「多能工化」を提案した。「柔軟なシフトを実現し工数管理を容易にするためにも多能工化は重要」と竹内氏は話す。

 そもそも人によって出来る作業・得意な作業が違うという現象はなぜ起こるのか。その原因は「作業順序の標準化が行われていないことにある」と竹内氏は指摘する。まず標準作業をマニュアル化し,それを全員が覚えるようにすれば作業スピードにバラつきは起きない。「こうすれば『人に作業がついている』状態から『作業に人がついている』状態になれる」と語った。