マイクロソフトは2006年9月13日、同社のインターネットサービス「Windows Live」に関する説明会を行い、直近の米国での正式公開を踏まえて国内展開の詳細を明らかにした。
Windows Liveとは、同社が提供するインターネット関連サービス群の総称であり、多様なサービスから構成されている。すでに日本でも正式版が提供されているものでは、インスタントメッセンジャー「Windows Live Messenger」、オンラインブックマークサービス「Windows Live Favorites」、セキュリティサービス「Windows Live OneCare PC セーフティ」がある。そのほかにも検索サービス「Windows Live Search」、表示コンテンツをカスタマイズできるポータルサイト「Live.jp」(米国ではLive.com)、「Windows Live Mail」、ブログサービス「Windows Live Spaces」など多数のサービスがあり、準備が整い次第公開していく予定だ(図1)。パソコンだけでなく、携帯電話やPDA(携帯情報端末)などからの利用も想定している。
ユーザーがWindows Liveに新しい機能を付け加えられるような仕組みも取り入れるという。例えばLive.jpでは、ユーザーの使い方に応じて表示するコンテンを選択できる(図2)。表示可能なコンテンツにはニュースサイトの見出し、Webメールの見出し、旅行情報、株価情報などのほか、「ガジェット」がある。
なお、ガジェットとは時計、天気情報、交通情報、ゲームなどの機能を備えたシンプルな機能のアプリケーション。マイクロソフトではガジェット作成のための仕様を公開しており、ユーザーが独自のガジェットを作成して、「Microsoft Gadgets」というWebサイト(現在は英語版のみ)で公開することも可能だ。
さらにWindows Live Searchには、「マクロ」とよばれる機能を使った検索が実行できる。例えば、「スポーツ」「健康」など、特定ジャンルのみのWebページを対象とした検索などが可能だ。このマクロも作成方法を公開し、ユーザーが必要に応じて自作できるようになる。
Windowsとの連携が強みになる
マイクロソフトでは、これらのサービスを媒体として、Web広告による収益を上げていく考えだ。同社のインターネットサービスは「.NET Passport」(Windows Liveでは「Windows Live ID」)でのユーザー登録を前提にしている。ここでの登録時に収集したユーザー情報で、性別、居住地など個人を特定できない範囲を使って、より精度の高い広告配信が実現できるという。広告配信のプラットフォームは「AdCenter」と呼ばれる。当初はリスティング広告をメインに配信していくが、いずれはリッチなコンテンツによる広告も視野に入れている。
Googleなど検索やWeb広告の分野で先行する企業にどう対抗していくかとの質問に対しては、「競合他社のサービスはWeb上で完結している。マイクロソフトではソフトウエアとサービスの2つをシームレスにつなげていく」(同社執行役 オンラインサービス事業部長 塚本良江氏:図3)とし、Windows OSやローカルにインストールしたソフトウエアとの連携が強みであるとの見方を示した。
なお、マイクロソフトのポータルサイトとしては、すでに「MSN Japan」が存在する。Live.jpを本格化させることで同社は、ユーザーがパソコンでインターネットにアクセスする際の入り口を2つ持つことになる。Live.jpはすべて自分用にカスタマイズしたページが欲しいというインターネットのヘビーユーザー向け、MSNは既成のコンテンツを閲覧したいという多くの一般ユーザー向け、という位置づけだという。