写真1 メモリースポット
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写真2 読み取りの様子
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写真3 アルバムにメモリースポットを付けたところ
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写真4 メモリースポットの場所
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 米ヒューレット・パッカード(HP)は、超小型の無線チップ「メモリースポット」を、日本のメディアに初めて公開した(写真1)。メモリースポットは米HPの研究施設「HPラボ」が開発を進めている。大きさは1.4mm四方と小型で、データ転送速度は10Mビット/秒、データ記憶容量が数Mビット。周波数帯は2.45GHz。現在実用化されているRFID(ICタグ)に比べて高速・容量である点が特徴。

 メモリースポットは紙やプラスチックなど、ほぼどんな物にでも添付できる。メモリースポットのデータを読み取ったり書き込んだりするには、データ読み取り/書き込み装置をチップに近づける(写真2)。ほぼ直接くっつけるくらいに近づけないと通信できないため、製品のトレーサビリティには向かない。

 逆に大容量データを読み書きできる特性を生かした用途を考えている。例えば写真やアルバム、ハガキなどに、音声を書き込んだメモリースポットを添付する(写真3、写真4)。パソコンに接続した装置でデータを読み取れば、音声データをパソコン上で再生できる。ほかにも行政文書に添付して作成者の署名データを書き込んで改ざん防止に役立てたり、病院で患者のリストバンドに添付して病歴を管理したりといった用途を想定している。

 技術的には、携帯電話やPDA(携帯情報端末)にメモリースポットの読み書き装置を搭載することも可能だ。メモリースポットに格納してある写真データを読み取って携帯電話で閲覧したり、音楽を再生したりといったことも可能になる。

 現時点では、メモリースポットの製造コストは50セント程度と、一般的なRFIDに比べて高価だ。HPでは「データの参照が主体のRFIDに対して、メモリースポットはより大容量データの読み書きが容易だ。音声や画像を使った、リッチな用途に向いており、RFIDとは住み分けられる」と説明する。

 HPでは早ければ2年後には実用化を目指す。HP社内のプリンタや一般消費者向け事業部などと共に、実用化を検討しているという。