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リング上で2台のロボットが格闘戦をする。写真は決勝戦の様子
リング上で2台のロボットが格闘戦をする。写真は決勝戦の様子
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山形県長井市のフラワー戦隊 ナガレンジャーチーム。ナガレッド、ナガレブラック、ナガレホワイトなど各ロボットに名前が付いている
山形県長井市のフラワー戦隊 ナガレンジャーチーム。ナガレッド、ナガレブラック、ナガレホワイトなど各ロボットに名前が付いている
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 2006年9月16~17日に山形県長井市で開催された、2足歩行ロボットの格闘競技会「ROBO-ONE」第10回大会の2日目、決勝トーナメント。予選を勝ち進んだ上位32台が格闘戦で優勝を決める。リング上で互いに攻撃を繰り出し、相手を倒したら1ダウン。3分間で3ダウンを先取した方が勝ちとなる。

 数々のロボットが繰り広げた激戦の中で目を引いたのは、ベスト4に進出した「MYRO」と「ivre」(ゆ氏作成)の対戦。全長約50cmで体重5kgのMYROに対し、ivreは全長27.5cmで体重2.7kgとどちらも半分ほど。体格では圧倒的にMYROが有利のように見えたが、ivreは素早い動きで間合いを取り、サーボモーターをムチのように連結した腕をうまく使って大きな相手を倒した。

 決勝戦は「ivre」と予選で高いジャンプを見せた「キングカイザー」の対決となった。どちらも数々のロボット格闘大会に参加してきた経歴があり、見ごたえのある試合運び。相手が攻撃を繰り出すとしゃがみ込んでダウンを防ぐ、相手が攻撃をしてバランスを崩したところに技を繰り出すといった高度な駆け引きが見られた。3分で勝負がつかず、対戦は延長戦にもつれ込む。最終的には、スキを見て前転キックを決めたキングカイザーの勝利となった。

 キングカイザーの操縦者、小学生のKen君は「前回は32位だったけど、今回は優勝できてうれしいです」と勝利コメント。実は、弟のRyoma君も8月に開催された2kg以下の大会ROBO-ONE J-Classで優勝しており、ROBO-ONEの2大会を制覇したことになる。兄弟で練習試合を繰り返し、相手のスキを突く反射神経を鍛えてきた。「もっと早く走れるようにして」とお父さんでロボット製作者のNao氏にお願いしたこともある。こんな家族ぐるみの連携が勝利を呼び込んだ。マルファミリーチームには優勝の副賞として長井市の特産品である米沢牛2万円分、全高1.5mのフィギュア「HY2M 1/12 RX-78-2 GUNDAM」が贈られた。

地元チームが委員会を動かして開催

 ROBO-ONEが首都圏以外の場所で開催されるのは1年前の岐阜県高山市に続き2回目。今回、山形県長井市で開催されることになった背景には「フラワー戦隊 ナガレンジャー」の地道な活動がある。長井市は桜、あやめ、つつじといった花の名所であるだけでなく、ロボットとのかかわりも深い。長井市では約20年前から定期的にマイクロマウスの大会が開催されている。

 マイクロマウスとは、迷路の中を自動制御で走り、ゴールを目指す車輪つきロボットのこと。3年前、長井市で開催されたマイクロマウス大会で、ROBO-ONEのベテラン参加者である森永英一郎氏が2足歩行ロボットのデモ実演をした。そこでたまたま会場の準備を手伝っていた小関博資氏は、初めて見る2足歩行ロボットに魅せられた。その場で森永氏に声をかけ、2足歩行ロボットについて3時間もの間、語り合ったという。

 元大手メーカーのエンジニアだった小関氏は、ロボット製作の活動が地域発展の大きな力となると考えた。同士を募り、ロボット製作チームを結成。「町おこしをしたい人なら誰でも参加してほしい」(小関氏)と呼びかけた。地元の製造業者から工業高校の教師、大学生、マイクロマウス大会の全国3位経験者など多彩な人材が集まった。

 地域の産業発展という方向性が一致し、自治体の支援も得た。今回のROBO-ONEを開催した産業振興センター内には、ロボット製作チームのための1室が設けられている。チームのメンバーは、ここで24時間いつでもロボット製作に没頭できる。市販ロボットの研究のみならず、地元の製造業者の協力も得て、独自のロボットを次々と開発。モーション作成のプログラムもメンバーが自作した。複数のロボットが完成し「フラワー戦隊 ナガレンジャー」と命名した。ROBO-ONEへ参加するとともに、長井市での開催をROBO-ONE委員長の西村輝一氏に直談判。ついに長井市での開催を実現させた。

 西村氏は今回大会を総括して「昨年は飛騨高山で開催して、優秀な選手が登場してきた。長井市でも活性化している。こうした地方の動きをサポートしていきたい」と語る。今後は、地方のイベントで優秀な成績を収めた選手に決勝戦の出場権を与えるといった方向性もあるという。加えて、サッカー風の「ランブルボール」という競技も増やし、初心者や団体でも参加できるようにする。より多くの人にロボットに親しんでもらうことで、最終的にはさらなる技術向上につなげていく方針だ。

 次回のROBO-ONEは2007年春に後楽園ホールでの開催を予定している。

全長50cmの「MYRO」と全長27.5cmの「ivre」の対戦
「ivre」と「キングカイザー」の決勝戦