米Sun Microsystemsグローバル・セールス&サービス担当エグゼクティブ・バイスプレジデント,Don Grantham氏(写真)は9月19日,東京都内でプレス向けラウンドテーブルを開催。2006年第2四半期(4月~6月)の世界サーバー市場における同社の売上高シェアが,競合他社のシェアが前年割れする中で,前年同期比で1.7%アップしたことを報告した。「我々は市場に対して競合他社とは異なるアプローチを取っている。今回のシェア向上で,我々のアプローチの正しさが証明された」(Grantham氏)。
Grantham氏が引用したサーバー売上高シェアは,米IDCの調査レポートに基づく。同レポートによると,2006年第2四半期の世界サーバー市場の売上高シェアは,IBMが前年同期比0.1%減の31%,Hewlett-Packard(HP)が同0.6%減の28%,Dellが同0.2%減の10%となっている。これに対し,Sunのサーバー売上高のシェアは前年同期比1.7%増の13%で,2005年第2四半期にほぼ横並びだったDellを抜いて,IBM,HPに続く3位に付けている。サーバー売上高の絶対額も,2006年第2四半期は前年同期比で15%ほど伸びているという。
Grantham氏は,Sunの市場へのアプローチの基本方針を「ゼロコストエントリ(ZeroCost Entry),ゼロコストイグジット(ZeroCost Exit)」と表現する。
例えば,同社は自社製OSのSolarisをオープンソースとして提供しており,ユーザーは無料で,Solarisを評価できる(ゼロコストエントリ)。ダウンロード数は直近の6カ月間で600万に達しており,その70%は「HP,IBM,Dellなどの他社製サーバーで稼働している」(Grantham氏)。Solarisのオープンソース化は,短期的な売上には結び付かない。しかし,他社製サーバーでSolarisを評価したユーザーが,本番システムでのSolaris採用を決めれば,最終的にSun製品の購入に結び付く可能性が高い。
このほか,同社製のx86サーバーでマルチOSが利用できることや,ストレージ装置やサービスについて「ヘテロジニアス(異機種)環境を前提にしており,顧客を自社製品で囲い込まない(ゼロコストイグジット)」(Grantham氏)ことを力説した。
ラウンドテーブルでは,「Sunの業績回復は,2000年問題とそれに続くITバブル期に導入されたサーバーのリプレース需要がこの時期に発生しているためではないか」との質問もあった。Grantham氏はこうした見方に対し,「2000年問題は6年も前のことであり,真剣に成長を考える企業はそれ以前にサーバー製品をリプレースしているはず。実需に基づくものと考えるべきだろう」と否定した。