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日本ヒューレット・パッカード,テクニカルセールスサポート統括本部シェアードサービス本部プログラムマネージャの磯谷 正孝氏
日本ヒューレット・パッカード,テクニカルセールスサポート統括本部シェアードサービス本部プログラムマネージャの磯谷 正孝氏
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 日本ヒューレット・パッカード(HP)は9月21日,日経BP社が開催したセミナー「ITproフォーラム 仮想化の全てがわかる一日」で講演し,CPUなどのサーバー資源をアプリケーション負荷に応じて動的に配置することでハードウエア調達コストを削減する方策「VSE」(Virtual Server Environment)について概要を語った。

 VSEは,ハードウエアが備える仮想化機能やソフトウエアを用いてサーバー資源の動的な配置を実施するための仕組みの総称である。サーバー機の物理/論理パーティショニング機能,負荷の監視機能,負荷に応じたリソースの配置機能などで構成する。対象となるOS環境はHP-UXのほか,一部の機能はLinuxでも利用できる。

 VSEのビジョンを「リソースの配置を人手ではなく自動的にできるようにすること。いずれは電力のようなユーティリティとしてサーバー資源を使えるようにすること」と語るのは,同社テクニカルセールスサポート統括本部シェアードサービス本部プログラムマネージャの磯谷 正孝氏。「仮想化という言葉が叫ばれるようになったのは最近だが,HPは10年以上前から仮想化に取り組んできた」(磯谷氏)と,VSEの熟成度に自信を持つ。

 サーバー仮想化のプロセスを,磯谷氏は時系列に合わせて4段階に分けて説明した。まず第1に,複数のサーバーをクラスタリング構成で使用し,(cc:NUMAのように)クラスタ全体を単一イメージで利用できるようにするモデルがあった。第2に,同社が「nPars」と呼ぶモデルで,HP-9000/Integrity Superdomeなどの巨大なサーバー機を用い,複数のCPUとメモリーを搭載したSMPボード単位でハードウエア・パーティショニングを実現する。

 第3に,同社が「vPars」(Integrity Virtual Machine)と呼ぶ,個々のハードエア・パーティショニングの内部で,仮想的に論理パーティショニングを実現するモデルがある。ソフトウエアではなくサーバー機のファームウエアで実現する。最後に,同社が「Secure Resource Manager」と呼ぶ,単一OSイメージの内部でCPUやディスク,メモリーなどのリソースをパーティショニングする方法がある。個々のアプリケーション・プロセスごとに独立したCPUを割り当てるといった運用ができる。

 もちろん,ハードウエア/ソフトウエア技術だけでは,サーバー資源を動的に配置して運用できない。実際に使えるものにするために同社は3つの課金モデルを用意している。(1)「iCAP」(インスタント・キャパシティ)は,使用権の無いCPUをCPU価格の25%であらかじめ購入しておき,CPU能力が必要になったときに使用権をCPU価格の75%で購入するというモデルである。1年後に必ずCPUを増設する計画があったとしても,1年後のCPU価格に応じた使用権料を1年後に払えばよいため,コスト・メリットが大きい。

 (2)2番目の「TiCAP」(テンポラリ・インスタント・キャパシティ)は,言うならばプリペイド方式のCPUである。30日(720時間)単位でCPUの使用時間を購入しておき,CPUを活性化している時間に応じて使用可能な残り時間が減る,というモデルである。アプリケーション負荷がピークになったときだけCPUを増設し,負荷が少ないときはCPUを切り離すといった運用に適する。

 いずれのCPU使用権も,パーティションやサーバー機をまたがって移行することが可能である。簡単に言えば,搭載しているCPUの総数に対する同時使用CPUの数が変わらない限り,どのCPUを活性化させても構わない。例えば,テスト環境のサーバー機のCPUを2基停止し,代わりに本稼働環境のサーバー機のCPUを2基追加で動作させるといった運用ができる。こうした動的な資源の配置は,VSEの基本ソフトである「Global Workload Manager」と呼ぶリソース配置ソフトで実現できる。

 (3)最後の「Pay-Per-Use」は,ファイナンス・リース方式のCPU課金である。CPUの使用率・使用時間に合わせてリース料を経費として計上できる。