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 NECは9月25日,クラスタ型データベース「Oracle Real Application Clusters」を対象とした性能予測手法を開発したと発表した。この手法は,クラスタ型データベースの処理効率低下の主要因であるサーバ間のデータコピー量を理論的に見積もるというもの。従来はデータベースシステム構築後に行っていた定量的な性能評価を,設計段階で検証できるようになる。

 今回,クラスタ型データベースシステム内でのデータコピー発生を見積るための解析モデルを新たに開発した。データベースの動作は,ユーザが発行するSQLによって指定される検索条件・更新条件によって確率的に変化するとされる。そこでSQLを発行するアプリケーションの特徴を分析し,確率的な特徴を規定するパラメータを抽出して動作モデルを作り,複数のサーバを用いたシステム全体の性能を予測する。

 最近の基幹業務システムは,ウェブ層,アプリケーション層,データベース層からなる3層アーキテクチャが一般化している。このうちデータベース層の負荷がとくに高く,システム全体の性能はデータベース層の性能に強く依存する。

 データベースの性能不足の問題発生が,システム開発工程の後になればなるほど,変更にかかるコストが増大する。このため,システムを構築する前の設計工程でデータベース層の性能評価を行う手法の開発が求められていた。

 NECでは,開発した性能予測手法を使い,様々な検索条件と更新条件を設定してデータベース性能を評価したところ,データコピー量の予測誤差が10%以下になることを確認したという。今後,大規模システム開発の性能要件定義を支援・効率化するツールとして実用性を高めていく。