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レノボ・ジャパン 代表取締役社長 天野総太郎氏[撮影:村田和聡]
レノボ・ジャパン 代表取締役社長 天野総太郎氏[撮影:村田和聡]
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 中国のレノボグループが米IBMのパソコン部門を買収してから1年半。日本法人レノボ・ジャパンが新社長を迎えた。国内で急激にシェアを拡大している直販メーカー、デルの販売部門を統括してきた天野総太郎氏である。従来のThinkPadに加えて、2006年3月に低価格のLenovo 3000シリーズも投入したレノボは、新体制で何を目指すのか。

■レノボがデルのような低価格路線に進むのではという見方があります。

 私自身は長い間、直販ビジネスに携わってきました。そのメリットを身をもって体験しましたが、そこでの限界も見てきたつもりです。直販ビジネスは究極の効率化です。人に対しても、製品に対しても、コスト重視で効率化を突き進めます。低価格の製品を大量に販売し、ビジネスを拡大します。ところが、ある一定のラインで限界値を超えると変化が出てきます。

 例えば、直販ビジネスではリーチできるお客様に限度があります。宣伝広告としてFAX、Eメール、カタログを使いますが、こうした販促を継続していても、ずっと買い続けてくれるとは限らない。そうなると価格で訴求する。すると、単価が落ち、利益率が悪くなってくる。もう1回買ってもらおうとしたら、さらにアグレッシブな販促をしなければいけないという負の連鎖になる。それがある一定のシェアに到達すると、急激に加速してくるのです。

 直販ビジネスにおける需要喚起の手法や、マーケティング施策などデルの7年間でさまざまなことを勉強させてもらいました。それはレノボでぜひ生かしていきたい。

 もうひとつ、メーカーにとって本当の敵は単価だと思います。ここ2~3年、パソコンの単価は毎年10%程度は落ちています。メーカーが実績として判断すべき材料は、販売台数ではなく、売り上げと利益です。いかに単価を保ちながら、利益を出していくかが、我々メーカーのチャレンジです。

 その点、ThinkPadはすばらしい製品といえます。高い付加価値を持ち、一定の顧客にきっちりとした支持も得ています。このブランドは今後も大切にしていきます。ThinkPadはトゲのある製品であるべきです。革新的なテクノロジーを搭載し、独自の色を出していかなければならない。だから、技術者はプライドや熱意を持って開発できる。これまでの遺伝子を引き継ぎ、ThinkPadの存在をうまく使いながらビジネスを伸ばしていきます。

■ビジネス向け製品を中心に、価格以外の訴求が難しい状況が続いています。

 私は価格だけ下げればいいという意見には賛成できません。パソコンのコモディティー化が進むほど、メーカーとして他社とは違う製品の付加価値を重視すべきと考えています。

 今後は、製品のイノベーションを強く打ち出していきます。パソコンはブランド力がとても重要です。ブランドは社員を育てる。低価格だけを訴求するのでは、従業員のモラルやモチベーションが落ち、成長につながらない。レノボの研究開発費は驚くほどです。今後も皆様の期待に応える製品が出せると考えています。

 現状では、レノボのシェアは大きくはありませんが、伸ばせる部分がたくさんあります。過去のIBM時代から主に大企業に向けて販売してきましたが、業界を見ると中小規模の企業に向けた販売は伸びています。そこに入っていく。同時に、コスト構造も改善します。その両方を推進していくことで、必ず伸びていきます。

※インタービューは2006年9月22日。