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パイオニアが試作した、乗用車のダッシュボードに置く運転支援ロボット
パイオニアが試作した、乗用車のダッシュボードに置く運転支援ロボット
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 パイオニアは、乗用車のダッシュボードに置く運転支援ロボットを、千葉市の幕張メッセで開催中の「CEATEC JAPAN 2006」で実演展示している。ドライバーの姿や運転操作、乗用車の周囲の状況を確認し、動き、光、音でドライバーに案内や警告を発する。

 ロボットはペンギンのような形をしている。移動はしないが、回転したり羽を上下に動かすことができる。胸部にはLEDを内蔵しており、赤色または青色に光る。また、この光に合わせて鳴き声を出すことで感情を示すよう設計されている。

 今回展示したロボットが備えている機能は、主に次の4つだ。(1)ドライバーが乗用車に乗り込むと動き始め、ドライバーを歓迎するしぐさを見せる。(2)走行中にドライバーが急なハンドル操作をしたり急加速や急停止をしたりすると機嫌が悪くなり警告する。逆に安定した走行をしていると青い光を出して穏やかそうな音としぐさを見せる。(3)観覧車などのランドマークを前方に発見した際に、音としぐさでドライバーに知らせる。(4)前方にある信号を検知し、赤信号なら赤いLEDを、青信号なら青いLEDを表示してドライバーに知らせる。また、赤信号を無視しようとしたり、赤信号から青信号に変わったのに停止したままだったりすると、ドライバーに警告する。

 ロボットの内部にはカメラが入っており、カメラで車内や前方の画像を撮影している。この画像を解析し、信号やランドマーク、車体の揺れなどを検出するアルゴリズムを備えている。また、ハンドルやアクセル、ブレーキといった操縦機器、あるいは車載のセンサーと連動して、これらからデータを受信することも可能という。

 車載カメラによる画像認識技術は複数のメーカーが研究を進めており、既に実用化された事例もある。具体的には、例えば車庫入れの際に壁に接触しないよう誘導したり、道路に引かれた白線を認識してはみだすのを防いだり、前方に人や障害物を発見した際にブレーキを掛けたりする技術がある。今回出展したロボットでは、こうした技術を基に、低価格で量産しやすい運転支援システムを作ることを目標としている。

 こうした機能を乗用車に実装するだけなら、必ずしもロボットである必要はないが、「単純にカメラとディスプレイ表示だけのシステムとするより、ドライバーが親しみを覚えやすい形や動作にすることによって、警告や案内を受け入れてもらいやすくなると考えている」(パイオニアの説明員)。現在はまだ研究段階だが、将来的な目標としてこうしたロボットの販売も視野に入れているという。

高速道路を走行中、ドライバーが不自然なハンドル操作をすると警告を発する。外観やしぐさを工夫することで、ドライバーに受け入れてもらいやすいよう工夫している