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SAPのスナーベ氏 「2010年までERPパッケージ(統合業務パッケージ)のメジャー・バージョンアップをしないという当社の決定に対し、『計画が遅れている』とみる競合がいる。だが、それは的はずれな見方だ」。独SAPでコーポレートオフィサーを務める、インダストリー ソリューション ジェネラルマネージャーのジム・スナーベ氏(写真)は、こう語る。

 同社の決定とは、今年出荷したERPパッケージの最新版「mySAP ERP 2005」でメジャー・バージョンアップを2010年まで凍結し、それまでは同製品の拡張として新機能を追加していく、というもの。今年9月に米国ラスベガスで開催した開発者向けカンファレンス「Tech Ed」で打ち出した。

 mySAP ERP 2005は、SAPの次世代アーキテクチャ「Enterprise SOA」に基づいている。Enterprise SOAは、SAP版SOA(サービス指向アーキテクチャ)のことで、以前はESA(エンタープライズ・サービス・アーキテクチャ)」と呼ばれていた。同社はここ数年、Enterprise SOA(ESA)を「2007年に完成させる」としており、それに向けてERP製品を毎年メジャー・バージョンアップする方針を掲げていた。

 この方針転換に対し、競合他社は「2007年に新アーキテクチャを構築するための新製品が出せないから、メジャー・バージョンアップを凍結した」といった見方を示している。だが、スナーベ氏は「むしろ予定よりも早く進んでいる」と、これを否定する。「2007年に提供するはずの製品を、1年前倒しで発表したということだ」。

 スナーベ氏は方針転換した理由を、「そのほうが顧客にとってメリットが大きいからだ」と話す。Enterprise SOAに基づくmySAP ERP 2005は、データ管理やアクセス管理などをつかさどる基盤(プラットフォーム)とアプリケーション(サービス)で構成する。「管理機能はプラットフォーム側で吸収するので、システム全体の構造がシンプルになる。これによって、アプリケーションの追加・変更が容易になる。中堅企業への導入もしやすくなる」(スナーベ氏)。

 スナーベ氏は、「毎年、製品をメジャー・バージョンアップすると顧客に多大な負担を強いる。mySAP ERP 2005はEnterprise SOAのプラットフォームとして安定したものになっており、2007年を待たずに『プラットフォーム向けに拡張機能を提供する』形にしたほうがよいと判断した」と話す。

 mySAP ERP 2005は、300種類以上のサービス(ES:エンタープライズ・サービスと呼ぶ)を提供している。ESは「受注管理」、「在庫管理」など、業務の視点からアプリケーションの組み合わせ方を定義したものだ。このほか、ESを管理するためのリポジトリも備えている。

 ただしスナーベ氏は、「2010年までメジャー・バージョンアップをしないといっても、イノベーションを止めるつもりはない」と断言する。例えば、「SOAをとりまく技術は、いつも進化する。そのため、ミドルウエアであるNetWeaverのバージョンアップは続けるし、データ活用に向けた新製品も追加していく」。SAPは、2010年までにESを1000種類以上、追加していくことも表明している。