GEスモールワールドは,ネットワーク型資産管理ソフト「スモールワールド」の通信会社向けソリューションを本格展開する。これまでは主に電力・ガス・水道などのユーティリティ事業者向けに提供してきたが,NGNの普及を前に,通信ネットワーク・インフラでも運用管理コストの削減や障害発生時の危機管理への要求が高まってきたことから,販売攻勢をかける。
スモールワールドは,地図情報と資産管理とを統合したツール。オブジェクト指向型の情報処理構造を持ち,すべての資産をオブジェクトとしてモデル表現し,一枚の地図上に記述する。他の地図情報ソフトウェアと異なり,レイヤー構造を使わずにすべての設備を扱えるという特徴がある。
地図情報ツールは,4000km四方のデータをミリ単位でシームレスに扱うことができ,外部のネットワークから建物内部のネットワークへとシームレスに入れるなどトレースが容易。資産管理ツールには通信業界向けモジュールを用意し,様々なネットワーク技術や設備機器を組み込んだモデルを短時間で作成できる。
スモールワールドは,ネットワーク設計システム(CAD)や,要員管理システム(WFM),基幹業務システム(ERP)などと連携することによって,ネットワーク・インフラの計画から施工,運用保守までのワークフローを一元的に管理できる。CADデータからデータを取り込んでネットワーク・モデルを作成し,検証を繰り返すことによって,効率的で低コストのインフラ構築を支援する。さらに設計情報をWFMやERPのデータと一元化することで,運用コストの削減や,ネットワークの更新・新規開発などの意思決定に役立つ。
「欧州で最大規模の通信会社であるドイツ・テレコムは,96年からスモールワールドを導入してネットワーク設備管理に取り組み,運用コストの削減と障害発生時の復旧及び顧客対応で成果を上げている」と,GEスモールワールドのJohn Davidson氏は実績を強調する。一方で既存ネットワークのデータ取り込み作業に相当時間を要したことを明かし,自動化を進めていると話した。