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 米CAがストレージ・マネジメント関連の企業買収を加速させている。昨年10月の米iLuminに続いて,この6月に米MDYを,7月に米XOsoftを買収により手に入れた。同社のストレージ・マネジメント部門の責任者,Robert Davis氏(SVP&GM,Business Unit Exec Storage Management)に,買収を支える戦略,買収で加わった製品とARCserveとの連携について聞いた。(聞き手は,森山 徹=日経SYSTEMS)

---企業買収はどのような戦略に基づいているのか
 一連の買収は,2年ほど前に策定した戦略に基づいている。当時,既に「ARCserve」はバックアップ/リストア・ツールの分野で,世界的なシェアを取っていた。しかし従来の延長線上で,バックアップの高速化を図ったり,新機能を追加したりするだけでは,戦略として不十分だと考えた。

 当時,バックアップを考える上で,「目標復旧時点(RPO:Recovery Point Objective)」と「目標復旧時間(RTO:Recovery Time Objective)」という指標が浸透し始めていた。障害時に,どこまで過去にさかのぼって,いかに早く復旧させるかということだ。金融系のシステムなどでは,求められるRPO/RTOのレベルが厳しくなり,それまでのバックアップ/リストアの手段では不足だと感じていた。その解の一つが,データのレプリケーション(複製)機能で,よりリアルタイムに近いデータを保持することだ。将来的には,バックアップとレプリケーションは融合していくものと考えている。

 また当時,ファイルやドキュメントから電子メールへと情報の幅が広がってきたことで,単なるデータ管理ではなく,情報マネージメントの重要性が高まっていくと見ていた。そうした状況を総合して,バックアップ/リストアの枠を越えるための戦略を立てた。その後,戦略に必要な製品を市場から選び出し,企業買収によって手に入れてきた。

---買収した3社を簡単に紹介してほしい
 昨年10月に買収した米iLuminは,アーカイブ・ソフトの大手だ。電子メール管理やアーカイブのための優れたソフトがある。今年に入って,米MDYを6月に,米XOsoftを7月に買収した。MDYのソフトは,記録管理全般に対して強力なソリューションを提供する。XOsoftは,継続的なデータ保護やリカバリ・マネジメントを実現する技術・製品を持つ。なかでも,レプリケーションには非常に強い。

---それら製品を「ARCserve」とどう連携させるのか
 買収で加わった製品とARCserveとの連携は順次進めていく。例えば,ARCserveは近く,XOsoftが持つレプリケーション機能と連携できるようにする予定だ。業務サーバーからXOsoftの機能を使ってレプリケーション・サイトを作る。そのレプリケーション・サイトからARCserveでデータをバックアップするような利用形態が考えられる。ARCserveを単独で用いるのに比べて,障害時のシステムの継続性が高まる,リストアの手段が多様になるといったメリットが出てくる。バックアップとレプリケーションを融合させた一例と言えるだろう。