PR

写真1 米VMware社が開発した「Technology Preview for Transparent Paravirtualization」の実行画面。ここでは,openSUSE 10.1が動作している。Webブラウザを利用しているところ。
[画像のクリックで拡大表示]

 米VMware社は2006年9月,新しい仮想化ソフトのプレビュー版「Technology Preview for Transparent Paravirtualization」を公開した(写真1)。これは同社初の「パラ・バーチャライゼーション」対応の仮想化ソフトである。どのようなソフトウエアなのかを,Linux上での動作画面を交えて検証する。


フル・バーチャライゼーションのみだったVMware


図1 ハードウエア,OS,VMware Playeの関係。ハードウエア上で動作するOSをホストOS,VMware Player上で動作するOSをゲストOSと呼ぶ。
[画像のクリックで拡大表示]

写真2 Fedora Core 5のメニューに登録された「VMware Tech Preview」ソフト。右上はインストールしたrpmファイル。
[画像のクリックで拡大表示]

 VMware社は,仮想化ソフト専業のソフトウエア・ベンダーである。1999年からさまざまな仮想化ソフトを開発,販売してきた。2005年にはデスクトップ用途に向く「VMware Player」,2006年にはサーバー用途に向く「VMware Server」を相次いで無償提供し,仮想化ソフトの認知度向上に努めている。

 VMware Playerや同Serverにより,Linux上でWindowsを動かしたり,Windows上でLinuxを動かしたりできる。Windows(ホストOS)上にVMware Playerをインストールし,その上で各種Linuxディストリビューション(ゲストOS)を動作できるわけだ(図1)。VMware Player上のLinuxディストリビューションは特別なものではなく,日経Linuxの付録メディアに収録したものをそのまま使える。このように,ゲストOSに手を加えずに仮想化できる手法を「フル・バーチャライゼーション」と呼ぶ。


性能を引き出せるパラ・バーチャライゼーション

 Linux上で使える仮想化ソフトとして注目を集めているのが,オープンソースで開発が進む「Xen」である。既に,米Red Hat社のRed Hat Enterprise Linuxや同社が開発に協力するFedora Core,米Novell社のSUSE Enterprise Linux Server 10などで標準採用されている。Xenにも条件付きながらフル・バーチャライゼーション機能が備わるが,特徴的なのはパラ・バーチャライゼーション機能の方だ。

 パラ・バーチャライゼーションでは,フル・バーチャライゼーションとは異なり,ハードウエアのエミュレートは行われない。このため,仮想化ソフトのオーバーヘッドが少なくなる。VMware Playerでは一般に20%から30%程度のオーバーヘッドが生じるが,Xenのパラ・バーチャライゼーションでは通常10%以下と少ない。

 ただし,パラ・バーチャライゼーションには,ハードウエアのエミュレーションを実行しない代償として,ゲストOSに手を入れる(ゲストOSとして使えるように改造する)必要がある。このため,Xenのパラ・バーチャライゼーションでは,LinuxをはじめとするオープンソースのOS以外は利用しにくい。

VMwareもパラ・バーチャライゼーションを提供へ


写真3 仮想化ソフトの起動画面。ゲストOSのvmxファイルを指定する。
[画像のクリックで拡大表示]

写真4 Fedora Core 5上で動作するopenSUSE 10.1。右下のフォルダは,openSUSE 10.1用が格納されたフォルダの内容。仮想ディスク(.vmdkファイル)などが見える。
[画像のクリックで拡大表示]

写真5 仮想化ソフトの動作を設定する画面。
[画像のクリックで拡大表示]

写真6 ゲストOSに割り当てるメモリー容量を設定する画面。
[画像のクリックで拡大表示]

 冒頭で紹介した「Technology Preview for Transparent Paravirtualization」(以下,技術プレビュー版)は,VMware初のパラ・バーチャライゼーション版の仮想化ソフトである。2006年10月時点では,その名の通り,技術プレビューとして公開されており,VMware社は製品化の有無や出荷スケジュールを明らかにしていない。

 Linuxサーバーの統合を目的に仮想化ソフトの導入を検討しているユーザーにとっては,Windowsなど他のOSが動作するかはあまり問題ではない。それよりも仮想化ソフト上のLinuxサーバーの処理性能が重要となる。VMware社がパラ・バーチャライゼーションの仮想化ソフトを開発した意図はこの辺りにあるのだろう。

 技術プレビュー版では,仮想化ソフトの本体と,既にパラ・バーチャライゼーション用にチューニングされたFedora Core 5およびopenSUSE 10.1が用意されている。Webページからは,RPM版もしくはtar版の仮想化ソフトと,仮想化ソフト専用のLinuxディストリビューションがダウンロードできる。

 技術プレビュー版の導入は簡単だ。例えば,Fedora Core 5上では上記のRPMパッケージをインストールした後,/usr/bin/vmware-config.plスクリプトを実行するだけである。

 技術プレビュー版は,コマンドラインに/usr/bin/vmtechpreviewを入力して直接起動できるが,Fedora Core 5であれば写真2のように,メニューにも登録される。

 技術プレビュー版を起動すると写真3の画面になる。ここでは,ゲストOSごとに用意された設定ファイル(vmxファイル)を指定すればよい。すると,写真4のように他のLinuxディストリビューションを起動できる。

 写真4に示した動作画面は,Linux版のVMware Playerによく似ている。レジューム機能などを設定する画面(写真5)や,ゲストOSへのメモリー割り当て画面(写真6)もVMware Playerとそっくりだ。VMware Playerよりも優れているのは,特定のキー操作を実行しなくても,マウスやキーボードが両OSを自由に行き来できること。逆に,USBメモリーに対応していない,ネットワーク設定用のGUIを備えていない,というようにVMware Playerよりも劣っている点もみられた。