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「天才プログラマー/スーパークリエータ」の認定者。認定式では一人一人に記念の楯が手渡された
「天才プログラマー/スーパークリエータ」の認定者。認定式では一人一人に記念の楯が手渡された
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ぬいぐるみの形状を3次元で描いているところ。右側に、自動生成した型紙が表示されている
ぬいぐるみの形状を3次元で描いているところ。右側に、自動生成した型紙が表示されている
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自作のクマのぬいぐるみを披露する森氏
自作のクマのぬいぐるみを披露する森氏
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「紙のキーボード」とデジタルペンで文字を入力しているところ
「紙のキーボード」とデジタルペンで文字を入力しているところ
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「紙のキーボード」。上半分が、カタカナや英数字などが並ぶ「キーボード領域」。下半分が、漢字などを書くための「手書き領域」だ
「紙のキーボード」。上半分が、カタカナや英数字などが並ぶ「キーボード領域」。下半分が、漢字などを書くための「手書き領域」だ
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 情報処理推進機構(IPA)は2006年10月24日、2005年度下期「未踏ソフトウェア創造事業」における「天才プログラマー/スーパークリエータ」の認定式を行った。未踏ソフトウェア創造事業とは、ソフトウエア関連分野で優れた才能を持つ人材を発掘することを目的に、IPAが2000年から取り組んでいる事業。天才プログラマー/スーパークリエータはこの事業を通して優れた成果を上げた人を認定するもので、2005年度下期に実施したプロジェクトでは12人が選ばれた(認定者の一覧)。認定式と同時にデモも実施。パソコンでぬいぐるみの型紙を自由に作れるソフトウエアや、キーボードの代わりに紙とペンを使うシステムなど、独創的な作品を紹介した。

 未踏ソフトウェア創造事業は、公募によって採択された開発者が、開発資金の援助を受けながら約9カ月間で目的のシステムを開発するというもの。年間で80件程度が採択されており、今回の認定によりトータル99人のスーパークリエータが誕生したことになる。関連事業として28歳以下の開発者を対象にした「未踏ユース」事業もある。仮想ネットワークを構築するソフトとして有名な登大遊氏の「SoftEther」も、この未踏ユース事業から生まれている。

 今回の認定者のうち、パソコンを使ってぬいぐるみを作れるシステムを開発したのが、東京大学大学院情報理工学系研究科コンピュータ科学専攻の森悠紀氏。開発の動機は、自分の好きな形のぬいぐるみを作りたいという願いだった。「ぬいぐるみを自分で作る人はたくさんいるが、市販の型紙を使う場合がほとんど」(森氏)。型紙を作るのはかなり大変な作業なので、自分の好きな形のぬいぐるみを自由に作れないことが多いのだという。「2次元のアニメのキャラクターを3次元にしてぬいぐるみを作る場合などは、専門家が半年ほどかけて、アニメのクリエイターなどと相談しながら型紙を起こす」(森氏)というから、一般の人にとってはかなりハードルが高い。

 森氏の開発したシステムを使えば、型紙作りは一気に簡単になる。パソコンの画面に3次元画像として表示された物体に縫い目を書いていくだけで、型紙を自動的に作ってくれる。3次元画像のデータを読み込んで型紙にすることもできるし、自分で一から3次元の物体を作り上げていくことも可能だ。森氏は実際に、このシステムを使ってクマのぬいぐるみを自作。会場でも実物を披露してみせた。

 「紙のキーボード」と題したシステムを開発したのは、作家の野口喜洋(ペンネームは山之口洋)氏(公式サイト)。ペン先の位置や筆跡を認識できる特殊な「デジタルペン」と、専用の用紙を利用する。用紙には、ひらがなや英数字などが格子状に配置された領域(キーボード領域)と、自由に文字を書ける領域(手書き領域)が書かれている。ひらがなや英数字はキーボード領域をタップすることで、漢字や図は手書き領域に手書きすることで入力できる。入力が終わったら、用紙の中の「PCに転送」という部分をタップすれば、Bluetoothを通じて入力した情報がパソコンに送られる。

 これだけなら既存のデジタルペンでも実現可能だが、「従来の文字認識技術の精度はそれほど高くなかったため、実用を考えると厳しい面もあった」(野口氏)。そこで今回は、前後にある文字の意味を解釈して推測するなど、文字認識の精度を高めた。また個人の癖を学習したり、ペンのジェスチャー操作を利用するなど、ストレスなく日本語入力ができるように工夫した。その成果が実って製品化に結びつき、既に海連から、紙のキーボードが付属するデジタルペン「Technote」が発売されている。

 ほかにも、Timeline Networksの中島薫代表の「デバイスの枠を超え情報の所有を実現する Timelineサービスの実現」と、東京大学大学院工学系研究科で助手を務める稗方和夫氏による「業務プロセスに基づく文書管理システムShareFastの開発」のデモが行われた。前者は、飲食店や商品など、ブラウザーで閲覧した情報の履歴を残しておき、外出先からアクセスできるようにするシステム。後者は製造などの現場を想定した文書管理システムで、知識の共有や技術の伝承などを進めるのに適した工夫が盛り込まれている。