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左にあるヒートシンク付きのチップが米サーバーエンジンズと開発した「NetClient」
左にあるヒートシンク付きのチップが米サーバーエンジンズと開発した「NetClient」
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 NECは11月6日、音声・動画の処理能力をパソコン並みに引き上げた仮想PC型のシンクライアント・システム「VirtualPCCenter」を発表した。音声・動画を端末側で処理するために開発した専用LSIを他社にも提供して量産効果を得るとともに、仮想PCサーバーをアプライアンス化したことなどで、初期費用を、20台導入時で1台約19万円と、約4割引き下げた。「マルチメディア処理性能の弱さと高いイニシャル・コストというシンクライアントの2大弱点を克服した」(NECの小林一彦 執行役員専務)という。

 今回発表したシンクライアント端末「US100」(写真)は、MPEG1/2形式の動画や、G.711/722などの音声符号化方式のハードウエアのデコードに対応する機能を1チップにまとめたLSI「NetClient」を搭載している。このチップは米サーバーエンジンズとの共同開発で、NECエレクトロニクスが製造を担当する。NECはこのLSIの使用を自社製品に限定せず、サーバーエンジンズを通じて、他社にも提供する。この戦略によって、端末1台の価格を5万2000円(税別)に抑えた。

 さらに、VMwareをベースにした仮想化ソフトや管理ソフトなどのミドルウエアをあらかじめ組み込んだ「Express5800/VPCC仮想PCサーバ」は、20ユーザーのWindows XPなどのライセンス込みで191万6000円(同)とした。端末のほかにディスプレイを用意すると、初期費用は端末20台のシステムで400万円を切る計算になる。

 NECは仮想PCサーバー1台に端末20台分の「仮想のパソコン」を設定する作業は工場で済ませてから出荷する。仮想PC型シンクライアントの場合、設置現場で1台当たり30分~1時間の設定作業時間が必要になるが、この時間が省けるため、「SIまで含めた初期導入費用は、従来比で約4割減る」(小林専務)という。

 今回のシンクライアント・システムに同社のIPテレフォニーサーバー「UNIVERGE SV7000」を組み合わせると、音声を仮想PCサーバーを介さずに端末間で送受信できるようになる。仮想PCサーバーの負荷による影響を受けず、安定した音質でIP電話を利用することができる。

 このほか、B5サイズのノート型端末「US50](税別22万円から)も同時に発売する。ただし、US50はNetClientを搭載しておらず、マルチメディアの処理は従来のシンクライアントと同等の性能になる。

 NECは12月15日に国内出荷を始めるほか、半年以内に北米、欧州、中国、東南アジアなどの海外市場にも展開する計画。今後3年間で約1500億円の売り上げを目標にしている。同社のシンクライアント・システムの売り上げは2005年度で70億~80億円、2006年度はその2倍になる見通しだという。