米プログレス ソフトウェア傘下の米ソニック ソフトウェア日本法人が、リアルタイムにイベントを監視・分析する「ESP(イベント・ストリーム処理)」のためミドルウエア「Apamaファミリ」の販売に本腰を入れ始めた。日本市場でもすでに複数の金融機関が導入し始めたという。Apamaは、プログレスが昨年、旧アパマを買収し、ObjectStore製品との一部統合を進めている製品。ESPの考え方などについて、旧アパマ創業者の一人で、米プログレスApama製品担当副社長のジョン・ベイツ氏(写真)に聞いた。
――ESPは、何を目的にしたテクノロジか?
リアルタイムに何が起こっているのかをとらえるためのものだ。多くのアプリケーションにおいて、種々のトランザクションが発生しているが、そこから浮かび上がってくるパターンを認識し、行動をうながす。クレジット・カードの認証を例にとれば、「同一カードに対し、5秒間に3回、認証が要求されれば『不正の疑いがある』ため、その要求を拒絶し、不正行為かどうかをチェックする』といったことが可能になる。個々のトランザクションだけを監視していても分からないし、通常のデータ管理では検索処理をするまで上記のようなパターンの存在は分からない。
――海外ではどんな用途で利用されているのか?
ESPを開発した当初は、金融機関のトレーディングやリスク・マネジメントが目的だった。値動きに沿ってトレーダの判断を支援したり、自動化したりするためだ。しかし最近は、流通業や物流・輸送業、通信業などにおいて、RFIDタグやGPSと組み合わせた利用が広がっている。例えばオランダの書店チェーンでは、書籍にRFIDタグを着け、入庫を自動検出しカテゴリを分類するために利用している。トラックの運行計画に遅れが出ていないかの早期発見に利用している物流業者もある。
――Apamaは具体的にはどのような製品か?
中核は、「イベント・コーリレータ」と呼ぶエンジンだ。ここで、外部システムから受け取ったイベントに対し、予め設定した「シナリオ(同一カードに対し、5秒間に3回の認証要求など)」とマッチングしているかどうかを判断する。分析結果をリアルタイムにグラフィック表示する「Apama Dashboard Studio」や、シナリオやDashboardを設定・カスタマイズするための開発環境がある。各種イベントを時系列にそって保存するデータベース機能があり、後から分析したり、監査証跡として利用したりもできる。
――システム・モニタリング・ツールでも実現できそうにみえる。
全く違う。モニタリング・ツールは、固定的なシステム環境において静的な動きを監視しているだけだ。ユーザーが求めるパターンを設定しながら、その動きをリアルタイムに補足したり、その結果に対しアクションを起こしたりはできない。オンライン処理化が進む中、毎秒100~1000件ものデータ更新が発生している。その中にビジネス上、どんな機会があり、どんな脅威が潜んでいるかを把握するためには、ESPのような新しいテクノロジが必要だ。
――競合製品は何か?
ユーザー企業による独自開発だ。しかし、手作りは初期開発費だけでなくメンテナンス費の面でもコスト・パフォーマンスが悪い。ESPでは今後、ユーザーが興味のあるパターンを自動的に抽出する予測機能なども実現される。ユーザーは強力なミドルウエアを利用し、ユーザーは次の行動に集中するべきだろう。