ITネットワークを活用したホームヘルスケアの普及を狙い,ITやヘルスケア,フィットネスなどの企業が連携して2006年6月に発足した国際団体「コンティニュア・ヘルス・アライアンス(Continua Health Alliance)」は,11月13日,日本地域委員会を発足させ,国内でのマーケティングや政府渉外活動を本格始動すると発表した。
記者会見に出席したDavid Whitlinger代表によると,同Allianceの活動目的は「ホームヘルスケアのエコシステムを実現する」ことにある。医療・健康機器の標準的な接続規格を検討し,相互運用性を確保するために,2007年秋までに相互運用性を確保の設計ガイドラインを策定。個人向けのヘルスケア機器やフィットネス・スタジオ向けの機器をネットワークに接続し,緊急医療や日常的な健康維持管理などのサービスを提供する統合ホームヘルスケア環境を構築するための規格作りを目指す。
同Allianceが重点を置くサービス分野は,「予防的な健康管理」「慢性疾患管理」「高齢者生活サポート」の3つ。医療機関やヘルスケア・プロバイダは,同Allianceの規格に準拠した血圧計やコレステロール・モニターなどの機器を使うことで,ユーザーの健康状態を遠隔地から監視するRPM(Remote Patient Monitoring)を実現できる。このRPMによって,糖尿病などの慢性疾病患者が,血糖値など健康に関する重要な数値を担当の医師と共有し,適宜必要な指示を受けられるようになる。高齢の両親と別居している家族が,遠隔地から親の状況を見守り,緊急時には迅速に対処することも可能になる。
「健常者には低コストな予防医療を,慢性疾病患者には生活の質の向上(クオリティ・オブ・ライフ)を提供できる」(Whitlinger氏)。
Continua Health Allianceの設計ガイドラインでは,Bluetooth,USB,Wi-Fi,Z-Wave,ZigBeeなどの既存の規格を利用する。相互運用性を確認した製品にロゴを付ける認定プログラムを作り,消費者が製品を選びやすい環境を整え,製品・サービスの普及を図っていく。
創設メンバーは,インテル,シスコシステムズ,GE ヘルスケア,IBM,BodyMedia,Kaiser Permanente,Medtronicなどの欧米企業のほか,オムロンヘルスケア,松下電器,シャープなどの日本企業。現在は,フィットネス大手のコナミスポーツ&ライフなども含め,全世界で67社が参加している。
日本地域委員会の役割は,日本での新メンバーの加盟団体を拡大することや,電波法をはじめとする各種規制緩和を求めた政府交渉にある。会見には委員会メンバーのインテル,エー・アンド・デイ,オムロンヘルスケア,コナミスポーツ&ライフ,シャープ,松下電器産業の各社が登壇し,各々の事業戦略及び連携による市場拡大への期待を語った。