電通国際情報サービス(ISID)は11月14日、2007年3月期の中間決算(連結)を発表した。売上高は前年同期比6.2%増の342億900万円ながら、営業利益は2億300万円の赤字で増収減益となった。前年同期は4600万円の赤字だったが、赤字幅が拡大した。
減益要因の一つは不採算案件の発生だ。上半期に納期遅れのプロジェクトが金融業向けで2件、製造業向けで1件発生した。外注費が計画を上回ったうえ、遅延損害金の支払いがあり、「3件で合計約5億円の赤字となった」(山口昌浩 経営計画室部長)。赤字プロジェクトが発生した理由については、「得意としている業務の近隣業務を請け負ったときのリスク判断などに甘さがあった」(同)と説明する。
一方で売り上げが好調なのは、自社製パッケージの売り上げが伸びているため。上半期に、連結会計システムの「STRAVIS(ストラビス)」を30社、地銀向け融資業務支援システムの「RiskTaker(リスクテーカー)」を12行、それぞれ新規受注したという。売上高は保守費用込みでSTRAVISが5億円、RiskTakerが2億6000万円である。金融業向けとサービス業向けのソリューション事業も好調という。
この10月に上方修正した07年3月期の業績見通し(売上高771億5400万円、営業利益39億3200万円)については、今回そのままとした。不採算案件の発生を抑えるための対策強化により、「営業担当者などの不採算案件に対する意識が引き締まっている」(山口部長)のがその一因だ。具体的には、常勤取締役会で事前審査する対象案件を、これまでの1億円以上を5000万円以上に引き下げると同時に、引き合い段階からリスクの有無を審査するようにしている。
また2007年度に売上高800億円・営業利益53億円を目指す中期経営計画についても、この5月に下方修正する以前の「当初目標(売上高850億円・営業利益58億円)にまで届きそう」(古川英昭 代表取締役最高経営責任者)との見通しを示した。「金融業向けビジネスが活況で、製造業向けビジネスの予想赤字幅は、中途採用による人材補強で圧縮できそう」(同)なことを理由に挙げる。