PR
Windows本部 コンシューマWindows製品部の森洋孝氏
Windows本部 コンシューマWindows製品部の森洋孝氏
[画像のクリックで拡大表示]

 マイクロソフトは2006年11月16日、Windows Vistaの販売戦略や提供形態に関する説明会を開催した。ライセンスやアップグレードなど、Windows Vistaの購入や利用に関する重要な説明がなされた。やや細かくなるが、順を追って紹介する。

 まず、パソコン間でのライセンスの移管についての説明があった。以前米マイクロソフトが公開していたライセンス条項では、購入したWindows Vistaをインストール後、それを削除して、別のパソコンにインストールできる回数は1回までとの記載があった(関連記事)。これに対して、特にパソコンを自作するユーザーにとっては厳しい条件だとの声が上がり、米社は条項の内容を変更した(関連記事)。日本でも同様に、パソコン間でのライセンスの移管回数に制限はなくなるという。

 アクティベーションの方法も、「Windows XPと同等」(Windows本部 コンシューマWindows製品部の森洋孝氏)。アクティベーションはポイント制になっていて、ハードディスクなら何点、のように、パーツを交換するごとにポイントが加算されていく。一定のポイントに達すると再アクティベーションが求められる。アクティベーションの回数自体には制限がないが、インターネット経由でのアクティベーションには限度があるという。限度を超えると、その後は電話でのアクティベーションが必要となる。

 仮想マシン環境を利用する場合のライセンスについては、仮想マシン環境を動かす「ホストOS」としては、すべてのエディションを利用できる。ただ、仮想マシン上で動作する「ゲストOS」になれるのは、BusinessとUltimateの2エディションのみとなる。

エディション間のアップグレードも可能

 既存製品からのアップグレードについても説明があった。アップグレード対象となるのは、Windows 2000 ProfessionalとWindows XPだ。この場合、2000とXP Home Edition、XP Professionalの区別はない。さらに、Windows Vistaのエディション間でのアップグレードも可能。例えばWindows Vista Home Basicのユーザーが、Windows Vista Ultimateにアップグレードするといったことができる。

 特徴的なのは、現在利用中のOSよりも機能面で不足があるOSへのアップグレードが可能になったこと。「例えばWindows 2000 Professionalを利用してドメインに参加していたユーザーが、Windows XP Home Editionにアップグレードすると、機能がないためドメインに参加できなくなる。従来は、このようなアップグレードパスは用意していなかった」(森氏)。今回は、すべてのエディション間でのアップグレードパスを用意した。

 ただ、機能面で劣るエディションへのアップグレードを実施する場合は、現在のデータや設定を引き継いだままインストールできる「アップグレードインストール」はできない。例えばWindows XP ProfessionalからWindows Vista Home Premiumへのアップグレード時は、いわゆるクリーンインストールをすることになる。このとき「Documents and Settings」や「Program Files」などのフォルダーに入っているデータは「Windows.old」というフォルダーの中に格納されるため、Windows Vistaのインストール後に手動で移動することは可能だ。

 アップグレードする場合に、自分のパソコンでWindows Vistaが動くかどうか気になるところ。Windows Vista Capable、Windows Vista Premium Readyなどのシステム要件が示されている(参考資料)が、最低限必要な条件は、動作周波数が800MHzのCPU、512MBのメモリー、SVGA(800×600ドット)が表示可能なGPU、20GBのハードディスク、15GBのハードディスク空き容量、CD-ROMドライブ。これを満たしていない場合は、インストールが途中で終了することもあり得る。例えばメモリーが不足しているパソコンでは、インストールが途中で終了するという。なお、Windows Vistaをインストールした後に、Windows XPに戻すことはできない。

すべてのエディションに64ビット版を用意

 最後に、64ビット対応に関して整理しておく。Windows Vistaでは、すべてのエディションについて64ビット版が用意される。ただ基本的に、店頭に並ぶのは32ビット版。最上位である「Ultimate」だけは、1つのパッケージに32ビット版と64ビット版の両方が含まれるという。Ultimate以外のエディションの32ビット版を購入したユーザーでも、64ビット版に変更したい場合は、申し込みをすれば1000円程度の実費で入手可能だ。

 提供メディアはDVDとなるが、CD-ROM版も用意されている。CD-ROMドライブしか持たないユーザーでも、申し込みをすれば実費でCD-ROMを入手できるという。

ハードとしての環境は整っている

 説明会では、Windows Vistaの今後の販売戦略についての話題もあった。プラットフォームビジネス推進本部の春原久徳氏が「今年のパソコン秋冬商戦は、難しい」と言うとおり、本来ならば一番のかき入れ時になるはずの年末だが、一般ユーザー向けのWindows Vistaの発売を2007年1月に控えていることから苦戦も予想されている。「店頭に並んでいるパソコンは、ほぼ100%がWindows Vista Capable PC。(Windows Vistaを快適に使える)Premium Ready PCは全体の15%ほどだが、メモリーを1GBに増設しさえすればPremium Readyになるパソコンは90%にものぼる。ハードウエアとしての環境は整っている」(春原氏)。こうしたメッセージをユーザーに伝えることで、購入を促進したいという。

 また見方を変えれば、この年末は、コンシューマ向けのWindows XP搭載パソコンを店頭で購入できる最後のチャンスでもある。「Windows XPを使いながら様子を見て、利用中のソフトやハードがWindows Vistaにきちんと対応したら乗り換えればいい。こうしたメッセージを発信することも大切だと考えている」(春原氏)。今はパソコンの販売価格も下がっていることから、こうしたユーザーにとっては買い時とも言える。

 なお、パソコンのパーツにバンドルして販売されているWindows XPのDSP(Delivery Service Partner)版がいま、好調な売れ行きを見せているという。特に、Windows Vista Home Premiumに3000円程度でアップグレードできるWindows XP Media Center Editionの人気が高い。「店舗によっては昨年比4000%の売れ行きを示しているところもある」(春原氏)。

 Windows Vistaの購入予約は既に始まっている。店頭で販売されるプリインストールパソコンで主力となるのはHome Premiumだが「現時点の予約状況では、(最上位の)Ultimateが主流。パッケージ版の予約数では、6割程度がUltimate」(春原氏)。既に予約済みのユーザーにはパワーユーザーが多いためと考えられる。