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sendmail開発者のEric Allman氏
sendmail開発者のEric Allman氏
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1969年から2006年にかけてのインターネットの成長を表した対数グラフ
1969年から2006年にかけてのインターネットの成長を表した対数グラフ
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BSDのキャラクタである悪魔(daemon)君。初期のデザイン
BSDのキャラクタである悪魔(daemon)君。初期のデザイン
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こちらは現在のお馴染みのBSDのイメージ・キャラクタ
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Berkeley校時代の友人の1人であるSteve Jobs氏とのツー・ショット。「黒いタートル・ネックを着ていない貴重な写真」(Eric氏)。Steve Jobs氏はSteve Wozniak氏とともにAppleを作る
Berkeley校時代の友人の1人であるSteve Jobs氏とのツー・ショット。「黒いタートル・ネックを着ていない貴重な写真」(Eric氏)。Steve Jobs氏はSteve Wozniak氏とともにAppleを作る
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Sendmail設立時のメンバー。Eric氏を除いて現在でも1人残っている
Sendmail設立時のメンバー。Eric氏を除いて現在でも1人残っている
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 2006年11月21日,メール中継サーバー・ソフト「sendmail」の開発者で現在は米Sendmailのチーフ・サイエンティストを務めるEric Allman氏が来日。1981年に生まれたsendmailの25周年を記念するセミナーで講演し,氏の出身校であるBerkeley版UNIXが牽引したインターネットの歴史を振り返った。セミナーの最後は,「みんなメールを使いすぎ。スパム以外のメールの半分以上が要らないもの。会って伝えられることは会って伝えよう」というメッセージで締めた。

 プレゼンでは,1968年12月に初のハイパー・テキストのデモが実施されたことを示し,1969年9月にインターネットの前身であるARPANETの最初のノードがUCLAで生まれた時から,2004年12月にEric氏がかかわるドメイン認証仕様であるDKIM(DomainKeys Identified Mail)の仕事がスタートした時までを鳥瞰して見せた。注目すべきトピックについては,重要人物の写真などインターネット初期の貴重な資料を提示するなど,終始和やかなムードで進行した。

 氏によれば,sendmailを開発する10年前の1971年に,人類初の電子メールが送られたという。この直後に,Ken ThompsonとDennis Ritchieによって最初のUNIXが誕生する。1974年には「Merkle Puzzles」と呼ぶ暗号鍵交換方式が生まれ,1977年4月にはRSA暗号が生まれる。1978年2月にはUUCP(Unix to Unix CoPy)が生まれ,1979年9月にUCB(California大学Berkeley校)がARPANETに接続,1980年10月にメールの配送を開始する。

 1970年代には,インターネット初の迷惑メール(スパム)が誕生している。1978年5月にDigital Equipmentの営業担当者がARPANETに宣伝メールを流したのがそれだ。この案件は,その後,謝罪によって収束したという。

 1980年代に入り,Eric氏はUCBにいたBill Joy氏から「メール・プログラムを作らないか?」と誘われる。1983年9月には,TCP/IPとSocketを実装した4.2BSDがリリースされる。4.2BSDの配布によってTCP/IPが世の中に一気に広まることになる。1985年5月にはQuantum(その後のAOL)が設立,一般ユーザーがインターネットに参加する礎を築いた。インターネット・ワームは1988年11月に生まれた。1989年3月にはTim Bernars-LeeがWWW(World-Wide Web)を提案する。

 1990年代に入ると,1991年7月のCIX(Commercial Internet eXchange)誕生を経て,インターネットの商用利用が増えていくことになる。1992年6月にはMIMEが提案される。1993年2月にはNCSA Mosaicが登場,1994年3月にはNetscape Communicationsが設立される。sendmailは1993年に,現行のメジャー・バージョンであるsendmail 8をリリースしている。

 1994年は忘れられない嫌な年だったとEric氏は言う。1994年に出現した「green card」スパムは,インターネットの歴史において重要な分岐点だ。米国のグリーン・カードの抽選広告だが,送信者はスパムを送ることを止めることなく,継続してスパムをビジネスに利用する姿勢を示した。この点が今日のスパムと同様であり,当時としては新しかった。そのころ,インターネットは研究者によるネットワークから,企業を含めた広く一般のユーザーが利用するインフラになりつつあった。1994年11月には,メールを介在したウイルスが始めて出現した。1年後の1995年には,S/MIMEが登場している。

 1997年5月には,TCP/IPアプリケーションの多くに興味を示していなかったMicrosoftが,ExchangeにSMTPを実装した。1997年10月にはYahoo!設立,1997年12月にはMicrosoftがフリー・メールのHotmailを買収している。その後の1999年3月に,Melissaウイルスが猛威を振るう。Eric氏は1998年3月に米Sendmailを設立している。

 2000年代に入ると,電子メールに関する新たな機能やプログラムが登場する。まず,2000年3月にsendmailで使えるメールフィルタAPIであるMILTERの実装がリリースされる(sendmail 8.10から同梱されていたが正式サポートはバージョン8.12から。8.12では,Submission機能の分離といったセキュリティ面の強化が施された)。2001年2月にはsendmailとは別のMTAの1つであるPostfixが生まれる。Eric氏が積極的にかかわるDKIMの前身であるYahoo!のDomainKeysが2003年12月に生まれ,2004年12月のDKIMへの参画と続く。なお,Sendmailが備えるメールフィルタAPIのMILTER経由でDKIM機能を利用可能である。