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 世界に先駆け、11月19日に米国で先行販売を開始した任天堂の新型ゲーム機「Wii」。開始8日間で60万台を販売したとされ、好調が報じられる一方で、「Wiiのリモート・コントローラがミサイルのように飛んで、家財を損壊した」という情報が、全米で駆け巡っている。

 Wiiの“売り”の一つは、最大5メートルの距離から無線操作ができるBluetoothコントローラ。加速度センサーを内蔵しており、コントローラ本体を上下左右に振り回すことで、操作情報を本体に送信できる。これによって、例えばテニス・ゲームなら、本物のラケットをスイングするように操作すれば、ゲーム内のキャラクターも同じようにラケットを振る。従来型の十字ボタンで操作するよりも、より直感的な操作でゲームを楽しめる。

 このユニークな機能を堪能しようとしたユーザーのうち、何人かがトラブルに見舞われたという情報が、発売と同時にインターネットにアップされ始めたのだ。ある人は、テニス・ゲームを楽しんでいて、熱中のあまりに本当のテニスのようなスマッシュをしたら、コントローラが手から抜けて壁に激突。手首にはコントローラを固定する専用ストラップを付けていたものの、勢いで引きちぎれてしまったようだ。

 別の人は、スポーツ・ゲームの最中、手に汗握ったからか振った勢いでコントローラが数十万円する大画面薄型テレビに飛んでいき、表示面を割るという事態を招いた。このほか、テレビの側にあった電子機器を直撃し損壊したり、ガラス瓶などに当たって割れるというケースも報告されている。

 不良品ではない商品を、本当に正しい使い方をしていながら起きた結果なのか否かは不明だ。さらにいえば、これらの情報自体が真実かどうかの確証も、残念ながら得られていない。ただし、ユーチューブにその瞬間の映像がアップされていたり、特設サイトに写真付きのレポートが寄せられているのは事実である。

 「もしもこの情報がすべて確かならば、製造物責任法(PL)による訴訟が起きる可能性は否定できない」と内田・鮫島法律事務所の鮫島正洋弁護士は指摘する。ユーザーの用法が全く違うなら免責になるかもしれないが、本来的な正しい使い方をしている範囲ならば、ゲームに熱狂した結果、ユーザーが思わずコントローラを力いっぱい振ってしまうことを事前に想像できなかったということは考えにくい。あらかじめ抜けにくい構造のコントローラにしたり、取り扱い説明書にきちんと書くなどの対策が任天堂には必要になる。

 日本国内を見る限り、そのための対策は打たれつつあるようだ。駅などに貼られている広告ポスターなどを見ると、モデルの手首には必ず落下防止用のストラップが巻かれている。また、取扱説明書には「ストラップを必ず付けること」という使用上の注意はきちんと記述してあるに違いない。鮫島弁護士は、「ストラップという対策を取っているので、任天堂の一方的な過失とは言いにくい。ただし、ゲームの遊び方も、訴訟に対する感覚も日本と米国では違いがある。本当にストラップがちぎれてしまうようなら、十分な対策が採られているとも言いにくいのではないだろうか」と語る。

 Wiiの日本での発売は12月2日(土)。先行するマイクロソフトの「Xbox360」やソニー・コンピュータエンタテインメントの「プレイステーション3」などの苦戦が伝えられるなか、2006年のクリスマス商戦で最も期待できる商品として、ゲーム市場ではその動向に注目が集まっている。こうした期待感が高まる中、任天堂には、正確な情報の入手と素早い対応が求められる。一方で、12月2日の発売当日に手に入れられた幸運な人たちは、その幸運をかみしめられるよう、分別のある使い方を守って楽しんでほしい。