PR
SAS Institute JapanでBISビジネス開発部ヘルスケア・医療担当を務める鈴木康平氏
SAS Institute JapanでBISビジネス開発部ヘルスケア・医療担当を務める鈴木康平氏
[画像のクリックで拡大表示]

 BI(ビジネス・インテリジェンス)ツール大手の米SAS Instituteの売上構成において全体の9.1%と,金融業と製造業に次ぐ第3位の額を持つ業界が,医薬品業である。同社日本法人のSAS Institute Japanは2006年12月7日にセミナーを開催し,医薬品業界に特有のビジネス・スキームを示すとともに,ITへの依存度の高さとITを活用した業務改善の余地を解説した。顧客関係管理の重要性など,一般企業にも通じる部分が多い。

 「医薬品業は,成果物を生み出すのにかかるコストのほとんどが情報コスト」と語るのは,SAS Institute Japanの鈴木康平ヘルスケア・医療担当。製造メーカーでありながら,最終成果物である薬の値段に占める原材料のコストが非常に低いのが,医薬品業界の特徴だ。新薬の研究開発や臨床試験,MR(Medical Representative,医薬情報担当者)による医師への情報提供,市販後の安全性調査といった業務のすべてを通じ,情報の収集と活用にかかるコストが膨大であるという。

 新薬の開発では研究開発費の絶対額の底上げが重要であり,研究開発費の拡大が医薬品業界で企業合併が起こる大きな理由となっているという。ビジネスの王道は,特許(発明を独占する権利)を取得すること。特許が切れて他社が同種の薬を安価に市場に投入するまでの間に研究開発費を回収する,というモデルが基本となる。ここでは,医薬品のもとになる化合物の発見と特性の検証などに情報コストが割かれている。

 臨床試験には,実施基準の改定によって現状では被試験者1人あたり150万~160万円のコストがかかるなど,依然として高コスト体質が残っている。ここでは,臨床試験計画書(プロトコル)の作成作業や試験全般の意思決定をITによって支援することで,臨床試験にかかるコストを削減できるようになる。

 MRによる医師への情報提供や営業は,回数ではなく質が問われる。MRの数はすでに飽和しており,医師5人に対してMRが1人いる計算である。1回あたりの平均訪問時間も6分と短い。国内医薬品市場は2002年の6兆8000億円から2005年の7兆7455億円へと増加している。これに対し,国内上位10社における売上高合計額を10社のMRの人数で割った金額は,2002年の2億300万円から2005年の1億8800万円へと下落しているのが実情だ。今後は,より細分化された専門性の高いMRを育成するとともに,医師の出身大学や個人情報といったデータを活用し,効果の高い情報提供と営業活動を展開しなければならないとしている。

■変更履歴
第5段落で国内医薬品市場の数値に桁数の誤りがありました。「国内医薬品市場は2002年の680億円から2005年の774億5500万円へと増加している」は「国内医薬品市場は2002年の6兆8000億円から2005年の7兆7455億円へと増加している」の誤りです。お詫びして訂正いたします。[2006/12/08 16:24]