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 米アドビ システムズは12月15日、2006年度第4四半期(9月2日~12月1日)と06年度(05年12月3日~06年12月1日)の決算を発表した。06年度第4四半期の売上高は前年同期比34%増の6億8220万ドル、06年度の売上高は前年度比31%増の25億7500万ドルで、いずれも過去最高だった。同社が好調な背景やアドビのこれからについて、ブルース・チゼンCEO(最高経営責任者)に聞いた。

――業績好調な背景をどうみているか。
 インターネットの広がりを背景に、“豊かな表現”が求められるようになってきたことが一因だ。Webは多対多のコミュニケーションの交わりを可能にした。結果、企業競争の土俵も、見込み客やパートナー企業はもとより、従業員を含めて、いかにメッセージを伝えるかに変わってきた。電子政府においても、種々の情報を市民にどう伝えるかが重要になっている。よりコンテンツ重視にシフトしているわけだ。ラジオがテレビに進化したように、企業内外で利用されている帳票も、より効果的なコミュニケーションを実現するための姿に変わる。その実現に当社の技術が期待されている。

――Flashに代表される表現力が差異化点という意味か。
 魅力的なコンテンツを作成する技術やスキルは差異化点だが、それだけではない。大切なことは、静的なプレゼンテーションではなく、双方向性があるかどうかだ。動的かつシームレスにバックエンドに伝えられる仕組みが必要になる。企業に情報提供する顧客は、その情報を効果的に活用してほしいと期待しているからだ。具体的な当社製品でいえば、PDF文書と企業システム連携するプロセス管理ソフトの「LiveCycle」や、Flashを使ったリッチクライアント・システムの開発を支援するFlex2などだ。

――企業ユーザーはそうした変化に気付いているか。
 もちろんだ。企業ユーザーはこれまで、バックエンド・システムに多くの投資をしてきたが、ROI(投資対効果)に満足していない。そこにアクセスする手段が限られていたからだ。どれだけ多くの情報があっても、アクセスする環境が重要なのだ。加えて、ドット・コム・バブルの崩壊でも多くのことを学んだ結果、米国企業のビジネス・スタイルも変わってきた。(1)高価なソリューションを鵜呑みにしない、(2)短期間でのROIを期待する、(3)長期的に生き残れる企業と付き合いたい、などである。企業トップは、信頼できる相手を求めている。

――業界標準のPDFだが、一部ソフトで作ったPDFが読めないと言った事象が出始めている。
 非互換性はオープン化の課題の一つだ。市場競争に勝ち抜くためとはいえ、ベンダー各社は標準の実装にきっちりと取り組むべきだ。最近、特に問われているソフト品質を保つためには、それなりの投資が必要だ。当社は売り上げの2割を品質を含む研究開発に投じている。業界標準を前提に競争に勝ち抜くには最先端を走り続けるしかない。その意味でも研究開発投資は重要だ。

――ところで、日米ともに理系離れが進んでいる。チルドレン・ディスカバリ博物館の役員として、何か打開策はないか。
 コンピュータの活用を、子供達の学習環境にフルに統合することを提案する。もっと学習対象に没頭できるように、ITで支援するわけだ。どの学問でもコンピュータは利用する。その過程で、コンピュータに興味を抱ければよいのではないか。当社は「Youth Voice」プロジェクトで、弊社製品を学校などに提供している。そこでは、コンピュータを学ぶことよりも、インタラクティブな自己表現力を高めることを支援している。