富士フイルムは2006年12月18日,米IBMのバックアップ用テープ・ドライブ「IBM System Storage TS1120」向けに,従来の1.4倍に相当する非圧縮時700Gバイトの大容量テープ・カートリッジ「IBM3592拡張容量テープカートリッジ」を出荷したと発表した。IBM向けのOEM(相手先ブランドによる生産)で,TS1120を搭載したテープ装置で利用できる。
3592拡張容量テープ・カートリッジは,テープ・ドライブTS1120で利用可能な2分の1インチ幅のテープ・カートリッジ。2003年からIBMが出荷している容量500Gバイトの現行版と比べて,1.4倍となる700Gバイトの非圧縮時記録容量を持つ。記憶容量の拡大には,独自の超薄層塗布型磁気媒体技術を用いた。テープ・ドライブであるTS1120の仕様は,データ転送速度が104Mバイト/秒,バースト・データ転送速度が400Mバイト/秒である。
同社は,まだ実験段階だが,2006年5月にはバリウムフェライト磁性体を採用したテープ媒体により,6.67Gビット/平方インチのデータ記録に成功したことも発表した。これにより,テープ1巻当たり8Tバイトのテープ・カートリッジの開発に見通しを得たとしている。
なお,同じ2分の1インチ幅を用いるオープン規格のLTO Ultrium 3では,非圧縮時にデータ容量400Gバイト,データ転送速度80Mバイト/秒である。今回出荷した3592テープは,LTOよりも性能的に上位に位置する。