NECネッツエスアイの山本正彦代表取締役社長
NECネッツエスアイの山本正彦代表取締役社長
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 ネットワークSIを手掛けるNECネッツエスアイ。同社の山本正彦代表取締役社長は、「2007年は、ネットワークとITの融合が加速し、NGN(次世代ネットワーク)に向けた環境整備が本格化する。ネットワークに強いSIベンダーの総合力が求められる」と話す(写真)。だからこそ、同社が「強みを発揮できる」(山本社長)という。

 同社は、2009年度までの3カ年で「売り上げを2006年度見込みの2600億円から400億円増やし、3000億円にする計画」(同)。その成長分の半分は、企業向けネットワーク・IT融合事業で、残りを通信事業者向けのNGN関連事業で構成する見込みだ。これに伴い、営業利益率も現在の2.8%から3.8%に向上させたいとしている。

 このうち企業向け事業ついては、特に、同社の中核顧客である中堅企業で、「ネットワークを基盤にしたITの高度利用が進展している」(同)ことが追い風になっているという。その構築にあたっては、製品・技術・サービスを多岐にわたって検討しなければならない。信頼性やセキュリティの高いネットワーク・インフラの構築、電子メールやグループウエアなどの情報基盤の整備、IP電話の導入、ノート・パソコンや携帯電話などのモバイル端末の活用といった具合だ。一方で、「中堅企業には専門の担当者や技術者がいない場合が多い」(同)。そこでベンダーには「ネットワーク技術をベースに、ITまで含めた総合的なコンサルティング力が強く求められる」(同)からだ。

 NECネッツエスアイは、企業ネットワークの構築や運用のほか、通信事業者の基地局工事、バックボーンの構築、運用などを手掛けている。加えて「総合力を強化するための手もすでに打っている」と話す山本社長は、三つの施策を挙げた。これらの基盤になるのは、同社を含めたNECグループ各社が、それぞれの強みを相互補完しながら事業を展開する「One NEC」だ。

 一つ目は、組織体制を強化することである。同社は2006年4月、無線通信や通信制御などを手掛けるNECテレネットワークスをグループ会社化した。2007年には同社を統合し、ネットワーク・システムの技術力やサポート・サービス力で事業を強化する。

 二つ目は、取り扱い製品を増やしていくことだ。例えばシンクライアントを使った企業プラットフォームを提案していく。NECが2006年に発売した小型シンクライアント端末「US100」などを使って、運用アウトソース事業を展開することを検討中である。

 三つ目は、基盤となる技術力を強化することだ。従来、NECネッツエスアイは、NECの通信事業部隊との交流が深かった。NECの我孫子事業場や玉川事業場に社員を派遣し、ネットワークの構築運用サービスや、ハード/ソフトの設計技術などを3カ月、半年といった期間で習得させてきた。加えてここ1、2年は、ITの技術力を高めるために、30~40代の中核になる社員を、NECのコンピュータ事業を手掛ける府中事業場に派遣。コンピュータの設計や開発、評価、販売推進などについて学ぶ機会を設けている。その数は、2けたに及んでいるという。