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 経済産業省は1月16日、ユーザー企業がシステム開発をITベンダーに委託する際に用いる契約書のひな型(モデル契約書)を公開した。モデル契約書は、同省のWebサイトにアクセスし、「情報システムの信頼性向上のための取引慣行・契約に関する研究会」の中間報告をダウンロードすれば入手することができる。

 モデル契約書のポイントは、ユーザーやベンダーの役割・責任分担を明確に示した点だ。例えば、要件定義や外部設計までの上流工程、納品後の運用テストは、発注者であるユーザー企業が主体となる「準委任」型とした点などである。最近のシステムは要件が固まりにくく、ユーザーが主体的にかかわらなければ、プロジェクトは円滑に進まない実態を反映した。

 ただし準委任契約であっても、モデル契約書には「ベンダーは専門的知見に基づき、ユーザーに助言したり、リスクを予測・説明する責務を負う」といった趣旨の条文や補足事項を契約書の各所に盛り込んだ。これによって、システム開発におけるベンダーの役割・責任を担保している。

 さらにモデル契約書では、、仕様の確定が難しいことを前提に、ユーザー企業とベンダーの責任を明確化するため、変更管理にかかわる手続き契約を厚くしている。具体的には、「開発途中でベンダー側は中間報告書をまとめ、ユーザーに確認を求める」、「納期、コストなどに影響がなければ、ユーザーは変更を請求できる」、「変更が生じた場合は変更管理書を作成し、両社が押印した段階で契約と認める」などを明記した。これらの内容によって、仕様変更による納期遅延やコスト増といった紛争に備える。またモデル契約書では、契約前の見切り発車による紛争を防ぐため、契約前の作業では「仮発注合意書」を作ることも推奨している。

 モデル契約書は、IT関連の紛争が増加・深刻化しているのは、契約段階で責任を明確化していないためとの認識から、経産省が昨年6月から策定を進めてきた。2月12日までパブリック・コメントを募集し、今春をめどに正式版に仕上げる。

 経産省が公開したモデル契約書や報告書は、合計約180ページ。契約書のひな形だけでなく、契約時の注意点や契約条項の解説に多くのページを割いている。